「麻辣湯」TikTokで“若者女性の食レポ”目立つナゾ。どこから火がついた?ガチ中華が抱える課題も
また、ここ数年若者女子の間では韓国もブームになっている。TikTokの投稿を見ると、中国で食べられている緑豆やじゃがいも澱粉を使った太い春雨(大拉皮や粉耗子)が中国タンミョンやブンモジャとして韓国食品のように紹介されていることが多い。韓国で流行った料理の1つとして麻辣湯が受け入れられるようになった部分もあるのではないかとも考えられる。 ところで、いまでは都内には数々の麻辣湯のお店があるが、最初にバズったのはどの店なのだろうか。
冒頭で述べた「楊国福」は、筆者が中国に留学していた頃から足しげくかよっていた店だ。2018年に「楊国福」が池袋に進出した頃は大歓喜で足を運んだ。そして、いつか日本で流行ることを夢見てガチ中華界隈での啓蒙活動を行ってきた。 ■最初にバズった店は「七宝」 しかし麻辣湯の人気の流れをみると、最初にバズった店は石神氏が立ち上げた「七宝」だったように思われる。 2021年頃にマーラータンを紹介していた女優やインフルエンサーは、そのほとんどが薬膳スープで野菜がたくさん摂れてヘルシーな「七宝」を紹介していた。
「楊国福」は中国系であることや、トングを使ってボウルに自分の取りたい具材を入れていくという初見者には少しハードルが高いシステムだったため、2023年ごろまではどの店に行っても行列に出くわすことはなかったし、客のほとんどが中国人だった。 一方で、日本人が立ち上げてヘルシーを売りにした「七宝」が認知され始めたことで、TikTokやInstagramで「麻辣湯界隈には『七宝』以外にも『楊国福』という中国発の店があって、美味しい」と紹介され始めた。その後「楊国福」でも日本人を見かけるようになった。
若い女性が「楊国福」にも足を運ぶようになったのは、ショート動画で大量に注文方法やおすすめ具材の紹介がされたことも理由の1つだろう。 特に週末はどこの店も行列になっていて、食事の時間ではない午後3~4時ごろでも大行列になっている店舗もある。 吉祥寺店で列に並んでいた20代の女性に話を聞くと「SNSを見て初めて来ました」と答えてくれた。筆者自身も20代前半で「楊国福」にハマり、多いときは週3~4ペースで通っていたので気持ちは理解できる。数日経つとまた食べたくなってしまうような妙な中毒性があるのだ。