日本株、TSMC新工場に九州が沸く一方で、じつは「第二の九州」として注目を浴びる地域の「プロ厳選・関連企業6選」を実名紹介
京セラ(6971)
■株価(6月28日時点終値)1851.5円 子会社を通じて、石狩市や周辺エリアでのデータセンターの再生エネルギー供給に注力している。自社の太陽光発電のほか、周辺の風力やバイオマス発電所とも連携し、電力消費の最適化とエネルギーの地産地消を目指す考えだ。太陽光発電技術をはじめとする再生エネルギー分野での豊富な経験と実績は大きな強みとなるだろう。 人口減少社会による宅配領域で発生する「ラストワンマイル問題」の解決に向けても存在感は大きい。次世代モビリティ事業にも積極的に投資しており、石狩市では自動配送ロボットの公道上での実証実験を重ねている。半導体市場や情報通信市場に需要回復の兆候が見え始めたことも光明と言える。今期を底にして業績回復局面に入っていくことも期待できそうだ。 また、1.8兆円を超える豊富な純金融資産を有していることも株価の底堅さに繋がりそうだ。今秋以降に具体的な資本施策を発表するとみられ、売却資金を成長投資や株主還元などに活用する期待ことが期待されている。
ダイセキ(9793)
■株価(6月28日時点終値)3740円 全国シェア25%超を誇る産業廃液・廃油処理のトップ企業。環境対応が求められる半導体業界や大規模なインフラプロジェクトにおいて、高度な技術と信頼性が高く評価されている。近年需要が高まっている環境負荷の少ない「水処理」を得意とし、半導体製造過程で発生する高濃度の廃液処理にも対応可能な点は大きな強みだ。 会社側は北海道バレー構想に伴う関連産業の集積に備え、将来の工場用地を2025年2月期中にも北海道と東北地域で取得を検討している。全国シェアトップの同社といえど、地域ごとの強弱感にはバラつきがある。これまで取引実績が希薄だった地域へ本格進出することで、収益の安定性を増すことが期待できる。 新たな中期経営計画では、「配当性向40%、総還元性向80%」という積極的な株主還元策を発表した。さらに「自己資本利益率(ROE)12%」を目指すという目標も掲げており、収益性向上への強い意志がうかがえる。 ラピダスが27年から量産を始めるには、25年までにパイロットライン(試作工場)の稼働が必要となることから、関連各社には様々な需要が生じつつある。新たな企業の参入を促す期待も大きく、北海道バレー構想によるビジネスチャンスはさらに広がる可能性もあるだろう。
宇野沢 茂樹(証券アナリスト)