日本株、TSMC新工場に九州が沸く一方で、じつは「第二の九州」として注目を浴びる地域の「プロ厳選・関連企業6選」を実名紹介
北海道電力(9509)
■株価(6月28日時点終値)1194円 ラピダスの最先端半導体工場の建設に伴い、電力需要の膨大かつ持続的な増加が期待されている。傘下の北海電気工事では、すでにラピダス工場関連の受注を獲得しており、新たな託送料金制度の導入で発電所や変電所の工事も増えている。米アマゾンや米マイクロソフトなどの企業が日本国内へのデータセンター投資を発表していることも追い風だ。 今後の注目点は、やはり泊原発の再稼働と安全審査の進捗状況となるだろう。泊原発が再稼働すれば、電力供給の安定化とコスト削減にも寄与することで、収益力の大幅な向上が期待できる。再生エネの導入拡大や水素燃料利用を目指す石狩湾新港発電所2号機の早期着工などの進展も加速する期待がある。 ただし、株価は一定の期待感をすでに織り込んだ水準にもあろう。泊原発の安全対策には投資総額4000億円以上がかかると試算されており、再稼働が遠のくほど、他の電力株と比較した増配余地が狭まる懸念はある。それでも北海道地域の需要成長見通しは魅力的だ。2027年度には費用負担が一巡し、収益力の評価がさらに高まる期待は大きい。株価の調整局面では見逃せない存在だ。
豊田通商(8015)
■株価(6月28日時点終値)3132円 風力発電国内最大手のユーラスエナジーホールディングスを完全子会社化したことで、北海道で日本最大級の風力発電プロジェクトを推進している。2025年4月までに総出力54万キロワットの風車127基を稼働させ、北海道の風力導入量を倍増させる計画だ。 年間を通して強い風が吹く北海道の道北地域は国内有数の風力発電の最適な土地柄とされている。豊富な風力資源を活用した再生可能エネルギーの普及が進めば、ラピダス工場をはじめとする北海道バレー構想における電力需要の増加にも対応していくことが期待できる。 再生可能エネルギーに由来する「グリーン水素」の供給網の構築では、トヨタ自動車グループとの協業による技術力の活用も強みとなろう。会社側の成長戦略では、純利益の約7割を占める自動車関連からの依存度脱却を課題としている。風力発電の技術革新やコスト低減に向けた取り組みが成功すれば、新たな成長エンジンを獲得することにつながろう。