200万円以下で買える!? ホンダの軽商用BEV「N-VAN e:」は個人でも購入可能な遊べるクルマだった。
ホンダの軽商用BEVは何がスゴイ?
N-VAN e:はN-VANをベースにしただけあって、エクステリアはほとんど変わっておらず、BEVであることを主張する部分はそれほどない。運転席以外をダイブダウンすることで現れる、床から天井まで1370mm、フラットフロアの最大スペース長2645mm、左側のピラーレス開口部1580mmという巨大な空間も同様で、普通サイズの段ボール箱(380×310×280mm)をおよそ70個も詰める積載能力は相変わらずスゴイ。 面白いのは、普通と急速の2つの充電口(給電も可)を備えたフロントグリルで、こちらはリサイクルバンパーを粉砕化して整形。端にはリサイクルマークが記されている。よく見ると黒一色ではなく青や赤、白など細かな斑点を見ることができ、それはNSXやタイプRなどの塗装膜を残しているからなのだとか。同じものは一つとしてないので、ユーザーはそれが何の色か、探してみるのも楽しそうだ。 一方のインテリアはホンダらしい工夫が詰まっている。ドアや荷室のサイドパネルを、コンテナの外観から発想したという縦シマの凹凸(プレス加工)を採用することで、まさに四角いコンテナの内部のような空間が広がっている。とりあえず大きな箱を用意して、あとは自由に使ってね、というスタンスだ。 そこに、バイワイヤのボタン式シフトとしたことでダッシュボードセンターの下端に運転席から歩道側に簡単に移動できる足ぬき空間を作ったり、センタークラスターを運転席に近づけて操作がしやすくなっている。他にもパワーウインドウボタンをドアからセンターコンソールに移すことで、ドアポケットに入れるA4の書類を出し入れしやすくしたりと、ガソリンモデルからの変更点は結構ある。収納部分をもっと増やしたいユーザー向けには、ホンダアクセスから数多くのオプションパーツが用意されているので、それを見つけていくのも楽しい。
荷崩れしない優しいチューニング
最高出力47kW(64PS)、最大トルク162Nmを発生するモーターは、EV化で重くなったボディをどう走らせるのか。比較のために乗った自然吸気のガソリンモデルに比べると、もう圧倒的に速いことがすぐにわかる。とはいえ、BEVにありがちなワープ感ではなく、一定の加速感で車速を伸ばしていくという感じ。 ブレーキングも、電動サーボとしたことで停止直前まで一定感覚で減速できる。これは、たくさん載せている荷物がGの変化で崩れないための優しいチューニングであり、さらに長い時間乗っていたり、乗ったり降りたりが多い商用ドライバーが、結果的に疲れないという相乗効果があるに違いないと思った。また、疲れないという面では、タイヤサイズを12インチから13インチに大きくしたことで、そのエアボリュームによって乗り心地がアップしている点も効果大だ。 充電は、普通充電が3.2kWで約8.5時間、6.0kWで約4.5時間、急速充電は50kW対応で、30分で80%まで回復する。給電用のパワーサプライコネクターを使用すれば、野外アクティビティやアウトドアなどで活躍できる。ホンダコネクトを使用したリモート充給電サポートなら、スマホで充電状況やそのコントロールが可能になる。 商用だけでなく、ちょっとおしゃれなそのスタイルから個人ユースにもぴたりとハマりそうなN-VAN e:。売れている「N」シリーズにまた新たな魅力が備わった。 SPECIFICATIONS ホンダ エヌバン イー L4 / FUN|Honda N-VAN e: L4 / FUN ボディサイズ:全長3395×全幅1475×全高1960mm 車両重量: 1130kg(L4) 1140kg(FUN) 駆動方式:FF 定格出力:39kW モーター最高出力:47kW(64PS) モーター最大トルク:162Nm(16.5kgf・m) 一充電走行距離:245km(WLTCモード) 電力消費率:127Wh/km 価格(税込): 269万9400円(L4) 291万9400円(FUN) ホンダ エヌバン イー G / L2|Honda N-VAN e: G / L2 ボディサイズ: 全長3395×全幅1475×全高1950mm(G) 全長3395×全幅1475×全高1960mm(L2) 車両重量: 1060kg(G) 1080kg(L2) 駆動方式:FF 定格出力:39kW モーター最高出力:39kW(53PS) モーター最大トルク:162Nm(16.5kgf・m) 一充電走行距離:245km(WLTCモード) 電力消費率:127Wh/km 価格(税込): 243万9800円(G) 254万9800円(L2)
文と写真=原アキラ