保守票争奪に野党競合…衆院選広島5区、前回6区に続く激戦か 根強い亀井静香氏の影響力
次期衆院選の広島5区で、2017年に引退した元金融担当相の亀井静香氏(87)が6日、立憲民主党現職の佐藤公治氏(65)の決起集会に出席し、これまで通りの支援を印象づけた。亀井氏の影響力はかつて所属した自民党の支持層にも根強い。自民党比例中国現職の小島敏文氏(74)と佐藤氏の「保守票争奪」に、共産党新人の猪原真弓氏(63)と佐藤氏の「野党競合」が重なり、前回広島6区に続く激戦が見込まれる。 【地図】広島5区【写真】支援者と握手する亀井氏(計5枚) 庄原市での佐藤氏の集会。亀井氏は1年ぶりの帰郷で大きな拍手に迎えられ、マイクを握った。「公治さんはね、ナイスガイ」。かつてしのぎを削り、今は全面的に支援する佐藤氏を評した。「こういう男を出さないでどうするんですか。県北の力で。だけどね、油断はなりませんぞ」 亀井氏は自民党を厳しく批判し、比例重複しない小島氏を「窮鼠(きゅうそ)猫をかむ」と例えた。続く三次市の集会では「相手は保険をかけてない。そういうのが怖い」とも。佐藤氏は報道陣に「亀井先生の影響力、信頼度の高さをあらためて実感した。やらなくてはとの熱い思いになった」と語った。 前回広島6区は、佐藤氏が小島氏に4638票差で競り勝った。勝利を決定づけたのは尾道市と庄原市での得票だった。尾道市は自民党衆院議員で農林水産相を務めた父の守良氏(1996年死去)の地盤で、保守層の支援も厚い。庄原市は前々回選に続き「亀井票」が大きな後ろ盾となった。 一方、亀井氏に3連敗、佐藤氏に2連敗し、4回続けて比例代表で復活当選した小島氏。連立を組む公明党との連携に「今まで以上に全力で支援体制を取っていただいている」と期待を寄せる。 亀井氏の支援を受ける佐藤氏を「そろそろ乳離れしなきゃ。いつまでも子どもじゃあるまいし。ずっと組んでいる」と批判。前回選では亀井氏からエールを受けたと公言し「亀井票」の取り込みを図ったが、今回は「(エールがあるかは)本人に聞いてほしい」と距離感をにじませた。 猪原氏は亀井氏への思いは「特にない」とする。派閥裏金問題などで揺れる自民党に加え、立憲民主党についても「(野田佳彦氏の代表就任で)立ち位置が変わった。(掲げる政策では)暮らしは良くならない」と批判する。
中国新聞社