大和政権と関連か? 銀象嵌装飾 雲南・加茂の横穴墓出土大刀、古墳時代終末期の3遺跡
古墳時代終末期(7世紀前半)の宇治西(うじんざい)3遺跡(雲南市加茂町三代)から出土した大刀(たち)をテーマにした市歴史文化講座がこのほど、雲南市内であった。分析に関わった島根県の担当者が、大和政権との関連を示すとされる「銀象嵌(ぎんぞうがん)」の装飾が施されていたことを紹介した。 【島根半島最大】島根半島最大の前方後円墳 松江で発見 堀部1号墳 全長68メートル 古墳時代前期
同遺跡は横穴墓で、大刀や須恵器など計19点の副葬品と人骨が出土している。大刀は全長93・4センチ。分析の結果、つばや鞘(さや)尻の金具などに、溝を掘って銀線をはめ込んだ銀象嵌の装飾が施されていた。当時の最先端技術で、大和政権の工房で制作されたと考えられ、同様の装飾がある大刀は、県内で他に15例が確認されている。 講座で県古代文化センターの吉松優希主任研究員が同遺跡の大刀について、6世紀末から7世紀前葉(前半)頃までに生産され、地域内の有力者が入手したと考えられると説明。有力者は今後の検討課題とした上で「鉄生産に関わるリーダー格的な人物ではないか」との考えを披露した。 講座は同市教育委員会が主催し、約30人が聴講した。2021年の遺跡発見当時、同市教委の職員として発掘調査を担当した広島市文化振興課の高橋誠二主事による説明もあった。