〈教育格差〉親の格差が生む教育格差・親の学歴は子どもにどう影響するのか?格差の再生産を生まないためには情報収集能力がカギに
文部科学省の「令和5年度学校基本調査」によると、2023年3月の高校卒業者の進路進学において大学進学率が過去最高となる57.7%を記録したことが分かりました。 ◆【画像】男女計学歴別に賃金を詳しく見る(出所:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」) 少子化が加速する中、2000年代に私立大学が増えたことも影響し「全入時代」とも言われるようになっており、今の子ども達にとって大学進学はもはやスタンダードになりつつあると言っていいでしょう。 しかし、一口に大学と言っても倍率が低く入学するのが比較的簡単な大学と、高い学力を求められたり倍率が高く合格するためには塾通いが必須という大学があります。 また、大学進学をせずに専門学校を選択する子や就職する子もいます。 高校卒業後の進路進学は子どもの就職にも影響する人生の大きな分岐点になるため、家庭でしっかり話をして決めていくことになりますが、子どもの進路進学に親の学歴が影響すると言われています。 そこで今回は親の学歴が子どもにどのような影響を及ぼすか考えていきます。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【教育格差】親の学歴と学力テストの正答率の関係
文部科学省2017年度の「全国学力・学習状況調査」の一環として無作為に抽出された公立学校における本体調査を受けた児童生徒の保護者のアンケート調査を行いました。 調査を踏まえて家庭状況等が児童生徒の学力等と何らかの関係があるのか分析した結果、親の学歴と子どものテスト結果に関係性が見られることが分かりました。次でご紹介しましょう。
【教育格差】父親と母親の学歴別・小学6年生の国語と算数の正答率
小学6年生の国語Aと算数A(A問題は主に知識を問うもの)で父親と母親の学歴別での正答率は以下の通りになりました。 ●「父親の最終学歴」と「正答率」の関係 国語A ・小学校・中学校卒 65.5% ・高等学校・高等専修学校卒 72.0% ・短期大学・高等専門学校・専門学校 74.8% ・大学卒 80.0% ・大学院卒 83.8% 算数A ・小学校・中学校卒 67.4% ・高等学校・高等専修学校卒 75.2% ・短期大学・高等専門学校・専門学校 78.7% ・大学卒 85.1% ・大学院卒 90.1% ●「母親の最終学歴」と「正答率」の関係 国語A ・小学校・中学校卒 62.9% ・高等学校・高等専修学校卒 71.4% ・短期大学・高等専門学校・専門学校 76.2% ・大学卒 81.8% ・大学院卒 82.9% 算数A ・小学校・中学校卒 64.0% ・高等学校・高等専修学校卒 74.0% ・短期大学・高等専門学校・専門学校 80.5% ・大学卒 87.6% ・大学院卒 89.5% 父親と母親の学歴別を比較すると、より子どもの正答率の差があるのは母親の学歴の方であり、子どもに与える影響は思いのほか大きいことが分かります。