〈教育格差〉親の格差が生む教育格差・親の学歴は子どもにどう影響するのか?格差の再生産を生まないためには情報収集能力がカギに
【教育格差】親が大卒以上だと大学までの道のりを知っている
親の学歴は子育てをする上でも幼児期から影響を与えやすいです。 夫婦ともに大卒以上の場合、子どもを育てる時に大学進学を前提とした子育てをしていき、家庭の教育方針も大学への道を考えて家庭学習の定着や塾通い、中学受験をするかどうか話し合って決めていきます。 親自身が大学受験をしているという経験もあるため「こういうことをするのがベスト」と過去の自分と重ね合わせて大学進学までの道へと誘導していきます。 その過程で勉強をしっかりやらせていくので、自ずと学力も高くなります。 筆者が地方都市の地元では進学校とされる高校に通っている時の話になりますが、同級生の両親は父親が大卒、母親が短大卒という組み合わせが圧倒的に多く、両親ともに高卒という筆者と同じ境遇の同級生は皆無でした。 つまり、「自分たちは高卒だけど子ども達には大学まで行かせたい」という子どもの立身出世を願っている親ではなく、自分たちも高学歴という親に育てられていたのです。 当時はコギャル文化全盛期、アムラーが大量発生していた時代。その時代の地方でも親の学歴が子どもの学歴と密接な関係があることを感じ、大変驚いたのを昨日のことのように覚えています。 その一方で、中学校時代の同級生に「親も中卒だから高校進学せずに働く」と中学校卒業後から働き始めた子もいました。こちらも多感な時期に親の影響の大きさを感じる衝撃的な出来事でした。 親が非大卒で子どもが大学受験をする場合、親にとっては未知のことばかりです。今の時代はインターネットなどを通じて色々な情報を収集することができるので、筆者が高校生だった頃に比べると親の経験に左右されにくくはなっています。
【教育格差】学歴による所得差で教育費に差が出ることもある
大学進学率は上昇傾向が続いていますが、大学進学に至るまでには塾通いなどの教育費を捻出するタイミングがやってきます。 親の所得が少ない場合、やはり塾のようなプライベートな教育への支出や大学進学での学費などを支払うのは難しく、結果として子どもの学力や進学にも影響を及ぼすことになります。 筆者が高校生の頃に感じた「親から子へと学歴が受け継がれやすい」は結果として子どもの年収差にも波及します。 以下は、令和5年の厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」のデータです。学歴別にみた賃金は以下のようになっています。 学歴による生涯年収の差が生じることは多くの人が知るところです。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」の学歴別の一年間の賃金を見ると、「男女計40歳~44歳」の階級では、以下の通りになっています。 ●「男女計40歳~44歳」 ・高卒 293.4万円 ・専門学校卒 307.6万円 ・高専・短大卒 304.2万円 ・大学卒 394.7万円 ・大学院卒 498.3万円 このように学歴と所得の関係ははっきり出ています。 親の学歴が高ければ高いほど経済的な余裕があるため、子どもの教育に力を入れることができます。一概にはいえませんが、子どもも高学歴となり、賃金の良い仕事に就くという学歴の再生産が行われていきます。 筆者も塾で仕事をしている時に感じましたが、学歴の高い人が就く専門職の親ほど教育費を惜しまない傾向がありました。 家庭の経済事情により塾に通ったことのない筆者にとってそういったタイプの親はまさに別世界に住んでいる人のように映り、「所得差による教育費の違い」を痛感しました。