検索すればすぐに答えが見つかるいま、重要なのは「問いかけ」スキルだった!
目まぐるしく変化する社会に生きる私たちは、日々「答えのない課題」と向き合っています。それどころか、そもそも課題自体がなんなのかということすらわからないこともあるでしょう。そうした時代に自ら未来を切り開いていくために必要なのは、これまでにない新たな価値を生み出すこと。 でも、その新たな価値とはどんなものなのでしょうか? この疑問に対し、『問いかけが仕事を創る』(野々村健一 著、角川新書)の著者はこう述べています。 今求められているのは、「新しい選択肢を創造」することです。 「他と違うこと」「これまでにないもの」を創らなければならないのであれば、求めるべきものは「答え」ではなく、多くの可能性を生み出す、良質でクリエイティブな「問いかけ」なのです。(「はじめに」より) 人は誰しも、好奇心旺盛だった子どものころにはさまざまな質問を大人たちに投げかけたはず。先入観やバイアスのない子どもたちの質問は、純粋であるがゆえにクリエイティブで、多くの可能性や想像力を感じさせるものでもあったでしょう。 ところが年齢を重ねるに従い、より速く正確に「答え」を導くことに重きが置かれていくようになります。そのため、従来の常識や正論にとらわれない行動や思考をもとに「問い」をつくることが難しくなっていくわけです。 しかしそれでも、少し視点を変えたり工夫をしたりすることで、“おもしろい問い”を考えていくことは練習できると著者はいいます。それは筋肉のようなもので、意識して鍛えることによって強化できるのだとも。 こうした考え方に基づく本書は、2018年に刊行された『0→1の発想を生み出す「問いかけ」の力』に加筆修正した新書版。きょうは第1章「これからの時代に求められる力とはなんだろうか」のなかから、「問いが重要になる理由」に注目してみたいと思います。
問いが重要になる理由(1)知識や専門性から、好奇心やクリエイティビティへ
知識にアクセスすることが困難だった時代は、知識を持つコトで他者に対して優位を保つことができました。しかし、誰もが同じように持っているスマホで、同じような答えにたどり着ける現代ではそうもいきません。 当然ながらそれが意味するのは、知っていることの価値の低下。知識や情報を知っていることに高い価値があると認識されていた時代とは違い、いまはそうした“答え”にさほど価値が見出されなくなっているということです。 だとすれば、どこに価値があるのでしょうか? この問いに対して著者は、「どんな答えを探そうとするか」「どうやって探そうとするか」「なにを答えとして創ろうとするか」ということの原点に位置する「好奇心」に価値があるのではないかと答えています。 従来は一つの枠の中で点と点をつなぎ合わせて状況を分析していたのに対して、今はまったく違う枠同士の点と点を、枠を越えてつなぐような考え方が求められるのです。(43ページより) そのためには、「そもそもどんな枠があるのか?」「その関わりはどこにあるのか?」といったことを考える好奇心こそが重要だというわけです。(42ページより)