太陽のエネルギーを地球上で再現する「核融合」、数千億円を超える費用では換算できないその価値
第一次岸田内閣で新設された大臣ポスト、経済安全保障担当大臣(内閣府特命担当大臣)に最初に就任したのは、自民党総裁選に出馬して注目を集めた小林鷹之衆議院議員だった。続いて、このポストを引き継いだのは、同じく総裁選で決選投票まで残った高市早苗衆議院議員である(現在の経済安全保障担当大臣は城内実氏)。 【図】核融合技術にはいくつかタイプがある。トクマク型とヘリカル型の違い 両者が総裁選をにらんで出した著書の中で、それぞれ日本のエネルギー政策の肝として挙げた新しい技術が「核融合」だった。まだ実用化には至っていない核融合とはどのような技術で、どれほどの可能性を秘めているのか。核融合の技術開発を進めるスタートアップ、株式会社Helical Fusionの共同創業者で代表取締役CEOの田口昂哉氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト) ──核融合がどのような技術か教えてください。 田口昂哉氏(以下、田口):核融合とは、太陽と同じ原理でエネルギーを生み出す技術です。太陽の中では連続的に核融合反応が起きていて、このエネルギーがとても微量ではありますが、地球にも届いています。 核融合エネルギーは、人工的に太陽と同じ条件を作り出して、生み出されるエネルギーを資源として利用する技術です。 ──名前に「核」と入っていると、思わず原子力発電を想像しますが、核融合と原子力発電は別の技術ですよね? 田口:別物です。原子力発電では、核分裂という現象が使われており、ウランという非常に重たい物質が分裂していくときにエネルギーが放出されます。核融合は対照的に、水素などのとても軽いものがくっついて融合したときに大きなエネルギーが放出されます。 ──核融合の技術は発電という形で使われるのですか? 田口:核融合は技術的な派生効果が大きく、さまざまな産業への応用が期待されていますが、今一番期待されているのは発電への利用です。 ──実用化された場合どんな利点があるのでしょうか?