太陽のエネルギーを地球上で再現する「核融合」、数千億円を超える費用では換算できないその価値
■ トカマク型、ヘリカル型、レーザー方式の違いとは ──トカマク型、ヘリカル型、レーザー方式など、核融合の技術にはいくつかのタイプがあるようですが、違いを簡単に教えてください。 田口:トカマク型とヘリカル型はほぼ同じだと思ってください。両者ともに「磁場閉じ込め方式」と呼ばれています。ドーナツ型の容器で、「磁力線」という磁場の力でプラズマを閉じ込めます。 磁力を作り出すために、コイルに電流を流して、その磁場でプラズマを閉じ込めるのです。磁場閉じ込めにはドーナツ状でなく直線状のものもありますが、ドーナツ状にすることで端からプラズマが逃げることがなくなります。 では、トカマク型とヘリカル型はどこが違うのかというと、磁場を発生させるためのコイルの構造が異なるのです。 トカマク型はミカンの房のような形をしています。これに対してヘリカル型は、二重螺旋状にコイルがねじれています。なぜねじるのかというと、磁力を発生させるときに、ドーナツ状にしているだけでは、プラズマをうまく閉じ込めることができないから。ねじることでプラズマをうまく維持することができます。 トカマク型とヘリカル型だと、ねじり方が異なります。トカマク型の場合は、プラズマにコイルとは別の電流を流して、プラズマ自身に別の磁場を作らせます。コイルとプラズマの2つが作り出す磁力線を組み合わせてねじるのです。 それに対して、ヘリカル型の場合は、最初からコイルをねじっています。ねじれた磁力線しか発生しないから、安定的にプラズマを閉じ込めることができる。 トカマク型とヘリカル型に対して、レーザー方式は全く異なる原理で核融合を起こします。「ターゲット」と呼ばれる水素の燃料を固めた粒を、四方八方からレーザーで同時に撃って爆縮させるのです。そうすると、瞬間的にそこで核融合反応が起こります。 このように、トカマク型とヘリカル型の磁場方式と、レーザー方式は全く原理が違います。 ──核融合の研究開発をしている企業や研究所は世界中にありますが、トカマク型、ヘリカル型、レーザー方式だと、どの方法が最もメジャーなのでしょうか?