2輪車なのに自立する! 赤外線暗視装置に自動運転に燃料電池! 1961年にフォードが爆誕させたコンセプトカー「ジャイロン」が衝撃的すぎる
デザイナーの空想から生まれた夢のジャイロカー
このアイディアはトレムリスが温めていたものらしく、彼はフォードを退職したあとで実際に走れるジャイロカーをいくつも作っています。 が、コンセプトモデルには「直径60センチの円盤」が搭載されることはなく、また実走モデルも作られたと噂されているものの火事で焼失ということに。近年、どこかの博物館から走行モデルらしきサンプルが発見されたニュースもありましたが、後年に作られたレプリカと主張する関係者もいるようです。 で、ジャイロで走るだけでも大衆は驚いたはずですが、フォード2世は「もっと、こう、なんとかならんか」と欲を張ったのでしょう。ここで、デザインを担ったミードと、社内のマーケティング担当者あたりが「だったら徹底的にブチ上げようぜ」とジャイロンにあることないこと「未来のテクノロジー」を詰め込んだのでした。 発表当時のカタログに記載されているものを挙げれば、まずはガソリンに代わる燃料電池の搭載にはじまって、ボタンひとつで目的地に到達できるオートパイロット&ナビゲーションシステム、はたまた暗闇だろうと濃霧だろうと視界を確保してくれる赤外線暗視装置などなど。「え? 1960年代に?」と思うのもごもっとも。カタログには小さな文字で「現在のコンセプトカーには搭載していません」との注意書きというか、言い訳もされています(笑)。 さらには、ふたつ並んだシートはどちら側でも運転できたり、車内に置かれたヘッドセットとマイクによって外部と通話ができる設定など、まさに未来を先取りしたテクノロジーが満載です。 あくまでコンセプトというか、空想の産物とはいえ、60年以上も前にここまでやってのけたのはさすがフォードの藤子不二雄だと、驚かずにはいられません。 なお、「夢のジャイロカー」は大人たちにはもちろん、子どもたちにも大人気を博したようで、のちに発売されたおもちゃのジャイロンはバカ売れだったとか。さしづめ、バック・トゥ・ザ・フューチャーのデロリアン的な存在だったのでしょうか。 ちなみに、トレムリスが作った走行可能なジャイロカーですが、いくらかジャイロンよりはコンパクトなサイズ。 ちょうどジャイロンの妹、ジャイ子と呼びたくなるような可愛らしさです(フジコ先生ゴメンナサイw)。
石橋 寛