「ノリックは、近寄るなって雰囲気を平気で飛び越えてきた」原田哲也さん
ノリックがサテライトチームに所属するとは意外だった
世界GP最高峰のスターライダーだったノリックがスーパーバイク世界選手権を戦い終えて、その後に全日本選手権を走ったのは意外だった。 自分と同じように世界で戦うことを辞めたらレースをすることを選ばないだろうと思っていた。頂点にいたライダーが全日本でワークス待遇ではないサテライトチームに所属した。勝てる環境があるとは言えないところでレースを続けることを選択したことが驚きだった。(まぁ、ノリックはどんな環境でも勝てると思っていたと思うけど)それでも走り続けることを選んだノリックは、レースがすごく好きだったのかなと思う。 ノリックの交通事故のことはアライのサービスの遠藤さんから連絡があって知った。メールが来て「ニュースを見た?」って…。あの当時は、今みたいにSNSが盛んじゃなかったしスマホの時代でもなかったから、すぐに電話して「何のニュース」って聞いた。モナコにいたからすぐに帰国の準備をした。自分が戻って何かが変わるわけではないけど向かわずにいられなかった。 今、ノリックがいたらチームノリックで育成に取り組んで日本とヨーロッパを行き来して忙しくしていたのだろうなと思う。 自分にとっては可愛い後輩ライダーだった。今なら忙しいグランプリ時代とは違って、のんびりと楽しい時間を過ごせていたんじゃないかと思う。それが、できないことを寂しく思っている。
佐藤洋美