「チャンスは十分にある」凱旋門賞に挑む坂井瑠星が見せた”偉業への自信”と”最強ジョッキーの矜持”
1969年の初挑戦から、エルコンドルパサーやディープインパクト、オルフェーヴルといった名馬たちが頂点を目指し、あと一歩届かなかった日本ホースマンの悲願であるGI・凱旋門賞(フランス)。 【これなら凱旋門賞、獲れそう!】”若き最強ジョッキー”坂井瑠星の自信満々ポーズ 10月6日(現地時間)に開催される競馬の祭典に、シンエンペラー(3歳・牡馬)と共に挑むのが坂井瑠星(27)騎手だ。 坂井は師である矢作芳人調教師と、サイバーエージェント代表・藤田晋オーナーの愛馬であるフォーエバーヤング(3歳・牡馬)のタッグで、上半期の海外競馬に挑み、強烈なインパクトを残した。今回も同じトリオで、日本競馬初の偉業を虎視眈々と狙う。 フライデーは、そんな日本競馬界の若手ホープを凱旋門賞直前に直撃。フランス渡航前の熱い想いを聞いた。 ◆「チャンスは十分ある」 ――今年は国内外の移動が非常に多い年になっていますね。 坂井瑠星:「去年(騎乗754回)がとんでもなく忙しくて、『もうこんな年はないかな』と思っていました。ところが蓋を開けてみると、今年はさらに海外でも騎乗機会を頂いて。本当にジョッキー冥利につきますが、『今どこにいて、何時なんだろう』とハッとなることもあります(笑)」 ――フォーエバーヤングでドバイ、サウジアラビアのダービーを制覇し、ケンタッキーダービーでも勝ちに等しい3着と激走しました。海外遠征を挟みながら、国内リーディングでも4位につけるなどまさに飛躍の年になっています。 坂井瑠星:「矢作先生と一緒に『世界で活躍するジョッキー』ということをずっと目標にしてやってきたので、まだまだ足りないところだらけです。ですが、本当にいい機会を与えてもらっています。海外でも国内でも、レースに向けて徹底的に準備する、ということは変わりません。僕にとっては毎週末のレースも、海外の大レースも同じだと思って乗っています」 ――凱旋門賞は初騎乗になりますが、坂井騎手からみてどんなレースでしょうか。 坂井瑠星:「日本ホースマンの夢でもあり、まだ誰も勝ったことがない特別なレースです。『いつか凱旋門賞で騎乗する』という想いから、2年前と3年前にフランスに渡り現地で勉強しました。レースも生で2度観ています。僕自身、ロンシャン競馬場での騎乗経験はあるので、イメージはできている。本当にワクワクしています。一方で、日本馬を代表して行くという責任感やプレッシャーも感じていますね」 ――今年の凱旋門賞は混戦模様といわれています。実際に海外のブックメーカーでも、シンエンペラーは上位人気に押されるなど非常に注目度が高い。 坂井瑠星:「お兄さん(ソットサス・フランス産馬)が凱旋門賞馬ですから。だから、この舞台が合わないわけはない。ロンシャンの力のいる馬場への適性も高いとみています。そういった血統背景も現地で評価されているんだと思います。今年は本当に混戦模様で、シンエンペラーにも十分チャンスはある」 ――シンエンペラーはどんな馬だと分析していますか。 坂井瑠星:「本質的にヨーロッパの馬だ、という感覚はありますね。それが日本の高速馬場にもうまく適応できている、という表現が正しいかもしれません。その点がこの馬の能力です。だからフランスの地だともっとすごい、今まで以上のパフォーマンスが出せるかもしれない。そこを発揮できれば……という可能性を秘めているとみています」 ◆「もちろん、本気で勝ちに行く」 ――前哨戦の愛チャンピオンS(GI)でも、見せ場を作った上での3着と好走しました。 坂井瑠星:「本番を見越して、正直まだ良化途上という段階のレースでした。強いメンバーが揃っていましたし、ここでどこまでやれるか、という部分はあった。次に繋がるいいゴールの仕方ができれば、というイメージで乗っていたなかで、最後はよく伸びてきてくれました。改めて能力を感じましたし、凱旋門賞へ向けて、という意味では悪くないレースでした」 ――凱旋門賞のポイントはどんな点になるのでしょうか。 坂井瑠星:「馬場状態はすごく気になっていますね。凱旋門賞は雨と晴れとでは全く違うレースになる。頭数や枠順も含めてですが、当日の馬場が見えてこないと……というのはあります。イメージを固めていくのはこれからです。対戦相手との力関係も含めてですが、渡航する木曜日以降、より情報を整理していきたい。あとから振り返った時に後悔が残るというのはすごく嫌なので、できる準備は突き詰めていきます」 ――ちなみに藤田晋オーナーとはどんな会話を? 坂井瑠星:「お忙しい方なので、そこまでお話しする機会はなくて。ただ、ドバイでもアメリカでもレース前夜にはお会いしました。おそらくフランスでもそうなるのかな。オーナーも矢作先生も、厩舎スタッフの方、そして僕も含め、凱旋門賞を目標にしっかりと準備を重ねてきました。だから前日に作戦会議とか、そういうことではなく、普段と変わらない、普通の話をすることになるんだろうなと思います」 ――最後に日本のファンへ向けて一言お願いします。 坂井瑠星:「今年は日本調教馬が1頭のみ。日本競馬を代表する気持ちでレースに臨みます。好走ではなく、もちろん本気で勝ちにいくので期待してください! 皆さんの応援も力になるので、応援お願いします!」
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