「SNS対策は必須」でも「昔ながらの選挙手法は有効」 豊田真由子氏「元秘書」が明かす自民党が“裏金で惨敗”した選挙の舞台裏
埼玉で感じた自民党への逆風
10月末に行われた衆議院選挙では、政治資金パーティーを巡る裏金問題などを巡って自民・公明の連立与党の獲得議席は215議席(自民191議席、公明24議席)にとどまり、過半数の233議席に及ばなかった。民主党政権が誕生した2009年以来となる過半数を割り込む結果である。 【写真】衆院選大敗…「裏金」自民党を率いる石破総裁の大豪邸 敷地は213坪
あられもない暴言が「週刊新潮」にスクープされたことをきっかけに議員を辞職した豊田真由子氏(議員時代は安倍派に所属)の元秘書で、有権者の厳しい声に現場で触れてきたレタスサンド氏(仮名)に、衆院選の戦いぶりや今後の政局を占ってもらった。 今回の衆院選でレタスサンド氏は自民党の応援に携わり、都心部、住宅地、山間部が含まれ、選挙情勢を測る際の参考になることが多い埼玉県の選挙区を担当。「日本の選挙情勢の縮図」と言われるエリアで、政治活動を支えてきたという。 小選挙区の「10増10減」に伴い、今回から選挙区が1つ増えて16となった埼玉県選挙区。自民・公明の連立与党は前回12人が小選挙区で勝利を収めたが、苦戦を強いられた今回は8人にとどまり、“裏金問題”で処分され無所属で出馬した中根一幸氏や三ツ林裕巳氏、そして世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が明らかになった牧原秀樹法務大臣などは議席を守ることができなかった。
国民民主党への熱視線
「何もしていない議員も“裏金”と言われ、日を追うごとに野党に票が削られていく厳しい選挙戦でした。終盤には非公認の候補者に2000万円を配布したことも明らかになり、この件でとどめを刺されましたね」 自民党総裁選挙前のインタビューでは「負ける可能性は高いものの、さすがに過半数のラインは守れるだろう」と語っていた同氏だが、日に日に戦況が悪化していく衆院選について、こう続ける。 「石破総裁は当初の意向を翻し、予算委員会を行わずに衆議院を解散する道を選びました。もし、予算委員会や臨時国会を経て、政策の是非を問うような形にしていたら、多少は風向きが良くなったかもしれませんが……。議論を経ずに選挙を迎えたため、野党からは裏金問題を徹底的に追求され、与党の議員は裏金問題を謝罪するだけの選挙戦になってしまった。200議席にすらも届かなかった今回の敗戦は、今後の政権運営にも大きく影響すると思いますよ」 自民・公明の与党が大幅に議席を減らすなか、目立ったのが国民民主党の躍進だ。埼玉県内でも2名の候補者が小選挙区を勝ち抜いているが……。 これに対してレタスサンド氏は「私の周囲にいる若い世代の方や、候補者を立てていないエリアの方からも『比例は国民に入れました』という声を多く耳にしました。かつては同じ旧民主党だった立憲民主党よりも中道に近い印象を受けますし、所得税の課税対象になる“103万の壁”を取り払う政策などにも注目が集まっている。やっぱり国民が気になるのは、良くも悪くも”お金”の話ですから…。彼らが掲げる所得アップや減税の政策への期待の高さを感じました」とのこと。与党が過半数割れする中で、自民党との経済対策に関する政策協議を進めるなど存在感を示している。