産学官民連携の可能性探る 奄美大島で東大大気海洋研シンポ
東京大学大気海洋研究所(千葉県柏市)主催のシンポジウム「奄美を探る:産学官民連携の実際」が15日、鹿児島県奄美大島の奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。同大などの研究者らによる最新の研究成果発表に続き、奄美群島の民間企業や教育、行政関係者らも大学や研究機関、行政、企業が連携し事業創出などを目指す取り組みを報告。大学の研究成果を活用した産学官民連携の可能性を探った。 シンポジウムは5部構成で、15、16の両日開催。15日は4部までを実施した。1~3部では考古・民俗学や地球科学、生物学の各分野からの知見や研究結果が示され、奄美近海でマッコウクジラの出現回数が増加していることに伴い、通年でホエールウオッチングが実施できる可能性などが報告された。 産業技術総合研究所地質情報研究部門の荒井晃作部門長は、奄美群島周辺海域の海洋地質調査結果を報告。徳之島近海で海底火山活動に伴う熱水噴出が確認されたことなどを紹介し、海底鉱物や再生可能エネルギー、養殖業など、調査データを活用した奄美近海の海域利用に言及した。 4部では安田壮平奄美市長も登壇し、多くの大学関係者が奄美大島で展開するフィールドワークの活性化による「共同キャンパス」構想について説明。構想実現に向けた体制として▽奄美大島5市町村のネットワークづくり▽既存公共施設を活用した研究・学習支援-などを挙げ、「市町村や高校などとも情報を共有し、大学との連携を促進することで知の還流を目指していきたい」と述べた。
奄美の南海日日新聞