「お前は祖国が嫌いなのか?」...神経性発作まで追い込まれた女性ジャーナリストへの止まらない「誹謗中傷」ロシア秘密警察の「残酷すぎる黙らせ方」
「NO WAR 戦争をやめろ、プロパガンダを信じるな」...ウクライナ戦争勃発後モスクワの政府系テレビ局のニュース番組に乱入し、反戦ポスターを掲げたロシア人女性、マリーナ・オフシャンニコワ。その日を境に彼女はロシア当局に徹底的に追い回され、近親者を含む国内多数派からの糾弾の対象となり、危険と隣り合わせの中ジャーナリズムの戦いに身を投じることになった。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション ロシアを代表するテレビ局のニュースディレクターとして何不自由ない生活を送っていた彼女が、人生の全てを投げ出して抗議行動に走った理由は一体何だったのか。 長年政府系メディアでプロパガンダに加担せざるを得なかったオフシャンニコワが目の当たりにしてきたロシアメディアの「リアル」と、決死の国外脱出へ至るその後の戦いを、『2022年のモスクワで、反戦を訴える』(マリーナ・オフシャンニコワ著)より抜粋してお届けする。 『2022年のモスクワで、反戦を訴える』連載第32回 『「パスポートはお持ちですか?」「携帯を切り車に乗りなさい」...日常の中で反戦ジャーナリストを突然襲う、ロシア当局〈E〉のヤバすぎる「やり方」』より続く
ロシア当局との押し問答
わたしたちのクルマはもう2時間もモスクワの通りを走っていた。 「どこへ連れて行くの? 弁護士に電話してもいいかしら?」 「ダメです」目出し帽の男がきっぱりと言った。「なぜあなたはそんなに祖国を嫌っているんです?」 「わたしは祖国を愛しています。ただ、祖国の権力を犯罪者たちが握っているんです」わたしは切り返した。 「あなたこそ犯罪者です。あなたみたいな人は刑務所に入るべきだ。あなたたちはこの国を亡ぼそうとしている。ウクライナはNATOに加盟すべきではない。さもないと、NATOはロシアの国境まで来てしまう」 「もしNATOと戦っているというのなら、ロシアはもう負けています。これまで中立を維持してきたスウェーデンとフィンランドが、戦争のせいでNATOへの加盟申請を出したでしょう。もうすぐロシアはNATOとの間に長い国境線を持つことになるわ」 「どうやらあなたはCIAやNATOと通じているようだ」
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