「恋焦がれて来た日本はこんなに落ちぶれてしまった」…経済が低迷する日本に「二重価格」は当たり前?
地元住民、日本人観光客、インバウンド…「三重価格」でもいい
「GWのニュースや情報番組を見ていて思いました。日本は貧しくなったなと。カップラーメンをスーツケースに詰めて海外旅行に出かけ、朝と昼はそれでなんとかしのいで、外食するのは夜だけ。日本人が海外でカップラーメンをすする姿をニュースで見た時、恋焦がれて来た日本はこんなに落ちぶれてしまったのか‥‥‥と胸が痛みました」 【当たり前!?】インバウンドに人気のニセコでは、キッチンカーの寿司が1貫1000円! こう話すのは、日本在住歴約40年、羽衣国際大学教授のにしゃんたさんである。 GWの海外旅行者数はコロナ禍前の9割まで回復というが、歴史的な円安の中、旅先で食事代の節約を強いられるなど、厳しい現実を突きつけられた人も少なくなかったようだ。 日本国内に目を転じれば、各地の観光スポットで、外国人観光客向けに「インバウンド価格」を設定する店が登場。1杯2万円近い海鮮丼が話題を呼び、「インバウン丼」なる造語まで生まれた。 インバウンドにとっては、1杯が1万円を超える海鮮丼も手頃な価格に違いない。が、日本人にはなかなか手が出ないのが現状だろう。そんな中、日本人とインバウンド向けとで値段を分ける「二重価格」に賛否の声が上がっている。 「私の母国であるスリランカのような、観光が重要な外貨の獲得源になっている途上国では、二重価格は当たり前に存在しています。 スリランカには8つの世界遺産があって、外国人もスリランカ人も訪れる有名な観光地では2種類の入場料金、つまり二重価格が設けられています。自国民の入場料は安いけれども、外国人にはしっかりお金を払ってもらう。その料金差はかなりえげつないです。 今年の3月に家族を連れてスリランカを訪れた際、世界遺産をいくつか回りました。観光客の8割が訪れるシーギリヤロックの入場料は、日本円に換算して外国人が約5500円、スリランカ人は約60円。私は日本国籍ですが、顔がスリランカ人だから何のチェックも受けず地元料金。日本人の妻はもちろん外国人料金です。問題は子どもたちで、結局、雰囲気で判断され、3人分の外国人料金を払うことになりました」 にしゃんたさんが現在暮らす京都にも、世界遺産が点在している。その数は、16社寺1城の計17ヵ所。 拝観料はたとえば、金閣寺と銀閣寺が500円、清水寺が400円、平等院が600円などとなっている。拝観料に二重価格を設定している世界遺産は一ヵ所もない。 「世界遺産や名所の拝観料、入場料に、京都の人を対象にした地元割引があっていいと思うんですよ。京都以外の日本人観光客は現行の料金、インバウンドに対しては上乗せし、いっそのこと三重価格にする。寺はその上乗せした分を、税金などの形で京都市に納めてはどうでしょうか。 京都市は’18年に宿泊税を導入しました。施行後5年を迎えて税率の見直しが検討されていますが、現時点では1泊2万円未満は200円、2万円以上5万円未満は500円、5万円以上は1000円です。日本人と日本の在留資格を持った外国人は200円とか500円でかまわないとして、インバウンドからはもっと取っていい気がします。 オーバーツーリズム対策で、京都市の財政は厳しい状況が続いているんです。経済的余裕のある外国人観光客には、日本人より高い拝観料や宿泊税を負担することで、京都市の財源確保に協力してもらうのが望ましいと思いますね」