「恋焦がれて来た日本はこんなに落ちぶれてしまった」…経済が低迷する日本に「二重価格」は当たり前?
潤っているのは、東京資本か外国資本のホテルやレストラン…
京都市が京都の魅力をPRする目的で’03年から制作してきたポスターがある。そのキャッチコピーは「日本に、京都があってよかった。」。だが、「京都人の多くは『よかった』とは感じていない」とにしゃんたさんは指摘する。 「確かに、京都は世界遺産がいくつもあって観光資源が豊富です。だけど、インバウンドが増えて潤っているのは大体、東京資本か外国資本のホテルやレストラン。東京資本ならまだ国内にお金が落ちますが、外資系が京都の観光資源を利用して儲けたお金は海外に持っていかれるわけですよ。 インバウンドが来ることによる恩恵を感じている人は、京都市民の中にいないと思います。インバウンド相手の商いで儲かっている限られた人々を除いては」 スイスのジュネーブに本部を置く世界経済フォーラムが発表した’24年版の「旅行・観光開発ランキング」で、日本は世界3位にランクインした。しかし、インバウンドが増えてはいても、その恩恵にあずかっている観光地は一部に過ぎないかもしれない。 「京都だけでなく、日本にはさまざまな観光資源があります。それなのに、多くの地域が観光でちゃんと稼いでいない。観光資源のマネタイズができていないんですよ。その点は、スリランカなどの途上国より遅れていると感じます」 山梨県が今夏から、富士山の吉田ルートで登山者に通行料2000円の支払いを義務づける。その通行料の額についてアルピニストの野口健さんが、自身のⅩで「国際的な感覚でも一万円でも安い。また、自国民と外国人で入山料を変えるのはよくあること。日本人1万円、外国人3万円。僕の感覚です」(原文ママ)と言及した。 「富士山は価値ある世界遺産ですから通行料を徴収するのは当然だし、日本人と外国人とで差をつけるべきだと思います。2000円にするのであれば、外国人は1万円ぐらいが妥当かもしれません。外国人登山客には迷惑行為やマナー違反をする人がいて、対応に余計な手間がかかったり人手が必要になったりもするでしょうから」 一方、飲食店が外国人客用に、高いインバウンド価格を設定することについてはどうか。巷では意見が分かれているようだが。 「外国人客は接客にちょっと手間がかかるというとこで1000円上乗せする店、日本人や地元の常連客に対して割引する店、両方ありますよね。あるいは日本人、外国人に関係なく適正価格で出す店もあるし、これまで通り一見さんお断りを貫く店もある。二重価格を設定する、しないは、経営者が決めることだと思います。 二重価格にするのであれば、外国人の料金を高く設定する正当な理由が必要でしょうね。外国人から『なんで日本人より高い値段を取るのか』と聞かれた時に、店側として料理の内容やサービスなどの付加価値をちゃんと説明できるようでないと。そこは経営者の腕が試されるところじゃないでしょうか」