美と笑顔を届けたい 「コスメ県さが」、余剰化粧品を困窮世帯に
佐賀県は、化粧品会社の余剰在庫を寄付してもらい、生活困窮世帯に提供するプロジェクトに取り組む。在庫化粧品を提供する活動を続けている一般社団法人「バンクフォースマイルズ」(東京都港区)と連携。民間基金の設立も支援し、活動の持続化を図る。 県は2013年度から唐津市や玄海町を中心にコスメティック産業の集積を図る「コスメティック構想」を展開。唐津市を拠点とする官民組織「ジャパン・コスメティックセンター」(JCC)と連携し、企業誘致や原料・製品の供給網の構築に取り組んでいる。 県によると、化粧品業界では季節ごとの商品入れ替えなどによる余剰在庫が課題となっている。バンクフォースマイルズが化粧品会社から寄付を受けた化粧品を、生活困窮者の女性らに提供する活動を続けている。 県内ではJCCが22年度からバンクフォースマイルズと連携。経済的に厳しい子育て世帯に食品を届ける「子ども宅食」の運営者や各地の社会福祉協議会を通じて在庫化粧品を提供してきた。 提供数の増加に伴い、包装や発送の作業量も増えてきたため、県は新たにコスメギフトプロジェクトを企画。包装や発送作業を県が障害者就労支援施設に委託することにした。公益財団法人「佐賀未来創造基金」と連携し、委託費を寄付で賄う仕組みの構築も図る。 県は委託費やPRイベントの開催費などを盛り込んだ事業費約300万円を計上した一般会計補正予算案を県議会11月定例会に提出。化粧品は来年2月ごろの提供を予定している。山口祥義知事は「『コスメ県さが』ならではの取り組みで美と笑顔が届くことを期待する」としている。【五十嵐隆浩】