「贅沢バイキング」から「ほったらかし」まで…廃れた宿が蘇る“オンリーワン”戦略とは
223人のシェフが参加~独自の人材活用術
2023年10月、東京・日暮里にあるマイステイズのホテルで山本肝いりのイベントが開かれた。マイステイズのグループホテルのシェフたちが腕を競い、ナンバーワンを決める「料理コンクール」だ。全国から223人がエントリー、予選を経て8人のシェフが決勝の舞台に立った。
今回のテーマは社会課題を組み込んだ「フードロス軽減に向けたメニュー」。魚のヒレや内臓など、ふだんは捨ててしまう部位を使った創作料理が出揃った。審査にあたるのはホテルの常連客や山本を含めた役員たち。味だけでなく見た目やアイデアも吟味する。 優勝したのは、鯛の皮で作った竜田揚げや兜焼きなど、身を使わない「鯛三昧」。他にも評価が高かった料理は今後、各ホテルで提供していくという。
ふだん接点のない料理人たちを交流させるのもイベントの狙いの一つ。競い合い、切磋琢磨する場を作ることでやる気を引き出そうとしているのだ。 また山本は2023年、独自の人材育成の場として「成田・ホスピタリティ・アカデミー」を開設した。 教室に集まったのは外国人。日本のホテルサービスを学びにきた外国人技能実習生だ。これまで製造業などに偏っていた外国人技能実習生をホテル業界に呼び込もうと、始めた。ここで日本語やホテルサービスの基本などを1カ月にわたって学び、現場へ配属される。 3週間前にフィリピンから日本にやってきた、ペラルタ・ダーウィン・タティルさんは「ホテルやレストランのビジネスをしたいです」と言う。日本で3年の実習を終えたら、母国でホテルビジネスを始めるのが夢だ。 12月、マイステイズが運営する静岡・東伊豆町の「熱川オーシャンリゾート」で、ダーウィンさんが働いていた。このホテルでは5人の実習生が夢を追いかけている。 ※価格は放送時の金額です。 ~村上龍の編集後記~ 山本さんは学生時代、欧州の小さな宿によく泊まった。庭先に鶏が放し飼いにしてあり、翌日その数が減っていたらしい。料理となったのだが、そのホスピタリティは強い印象に残った。かんぽの宿を加えると、マイステイズの運営受託件数は149物件に。全国のさまざまな立地、施設形態、部屋タイプの需給状況を見られる。つまり今どのようなホテルがどの価格で売れているのか、という情報が膨大にある。だが、その情報の根底にあるのは「放し飼いの鶏」だ。マイステイズ・ホテルのホスピタリティのいちばん底に「鶏」がいる。 <出演者略歴> 山本俊祐(やまもと・しゅんすけ)2000年、早稲田大学法学部卒業後、外資系証券会社に入社。2005年、オシンホテルズグループ入社。2011年、フォートレス・インベストメントグループ入社。2012年、マイステイズ・ホテル・マネジメント会長就任。 ※「カンブリア宮殿」より
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