19センバツ星稜 第2部・頂点への戦力チェック/2 奥川が柱、厚い投手層 /石川
投手兼任の竹谷理央前主将も含め、昨夏の甲子園で登板したのは2試合で6人。今春は4人で臨むが、林和成監督はむしろ投手のベンチ入りは3人と思案したこともあった。もちろん、主戦の奥川恭伸投手(2年)が予定通りの成長を遂げたことが大きい。 「奥川という投手がいながら5人(以上を登録すること)はない」と林監督。奥川投手は昨秋の公式戦で先発登板した7試合で5完投。登板間隔が短い短期決戦での消耗度を考慮しても、他の2~3投手で勝ち抜ける目算はあった。 左腕の寺沢孝多投手(2年)は新チーム発足直後の投手陣を支え、荻原吟哉投手(1年)は北信越大会、明治神宮大会の決勝で登板して及第点の働きを見せた。不調で秋はわずか6回投げただけにとどまった寺西成騎投手(同)は、昨夏の甲子園で登板した経験値を買われ滑り込んだ。 どの投手でも試合が作れる層の厚さは全国屈指。仮に奥川投手が先発をしなくても、それは決して「奇策」にはならない。 ◇制球力に自信、監督も成長期待 荻原吟哉投手(1年) U15(15歳以下)日本代表の経験を持つ右腕が満を持して甲子園デビューを果たそうとしている。「高校入学後は(結果を出すのに)時間がかかったが、秋は持っている力を見せてくれた」。少々厳しくもある林監督の評価は期待の裏返しだ。 飛躍の中での苦い記憶が、成長速度を鈍らせない。先発登板した、昨年11月の明治神宮大会決勝。七回途中を2失点は数字だけ見れば立派だが、札幌大谷に1-2で敗戦。打線の援護がなかった不運にも「自分の力のなさに気づいた」。失点した場面ではコースが甘くなったスライダーを狙われるなど、全国レベルでは少しの隙(すき)が命取りになることを痛感した。 「思ったところに投げられるのがストロングポイント」と制球力に自負がある一方で、この冬は球種増にも取り組む。投げ込んでいるのが、ツーシーム。真っすぐは真っすぐでも微妙に沈む球は、星稜中時代から習得を目指していた。最速139キロの直球もキレを増したいという。170センチ、70キロの体は技巧派の風情も漂わせるが、「3年では140キロ後半を出したい」という欲も隠さない。 白山市立北陽小から星稜中へ。同じ黄色のユニホームに袖を通していても、高校に入ると重みをより強く感じる。何せ全国制覇も期待されているチームだ。「電車で『星稜』のカバンをかけているだけで視線を感じる。変な行動は取れない」と自らを律する。中学3年だった2017年の全日本少年軟式野球大会は準優勝。「中学時代からの仲間とは、甲子園での優勝が最大の目標になっている」。 夢をかなえるのは少しでも早い方がいい。チームの悲願に貢献できる自信はある。【岩壁峻】 ……………………………………………………………………………………………………… 選手 利き腕 回 責 防御率 奥川恭伸(2年) 右 60回1/3 4 0.60 寺沢孝多(2年) 左 23回1/3 3 1.16 荻原吟哉(1年) 右 20 6 2.70 寺西成騎(1年) 右 6 0 0.00 ※記録は昨秋の公式戦。回は投球回数、責は自責点。