米国務省が認定「日本語は英語話者にとって最もハードな言語」。逆も真か?
「カテゴリー4」は? 英語ネイティブスピーカーにとって並外れて難しい言語、それが日本語
◾️「カテゴリー4」は? 英語ネイティブスピーカーにとって並外れて難しい言語、それが日本語 そして、英語ネイティブの人にとって最も難しいとされる外国語が分類される「カテゴリー4」。カテゴリーは、実に直球といってよいネーミング「スーパーハードな言語」(“Super-hard languages”)がされ、「英語ネイティブスピーカーにとって並外れて難しい言語」(”Languages which are exceptionally difficult for native English speakers”)という説明書きがある。 そして、英語習得に苦労しているわれわれ日本人が想像する通り、このカテゴリー4に日本語が堂々と含まれるのである。その他の外国語は、中国語、韓国語、アラビア語。このカテゴリーの言語の習得には、なんと2200時間がかかるという。一番英語に近いとされるカテゴリー1のフランス語などと比べて、なんと4倍近くの時間をかけないと習得できない言語なのだ。 ここで、英語ネイティブにとって日本語がスーパーハードなのであれば、日本人にとって英語がスーパーハードなはずだ、日本人がなかなか英語が上手くならないはずだ、さもありなん!と合点した人もいるかもしれない。しかし、である。英語ネイティブが日本語習得にかかる2200時間がそのまま日本語ネイティブが英語習得にかかる時間になるか、というと、そこはおそらく等価でないのではないか、と筆者は考える。 少なくとも、乗り越えないといけない課題の種類は、学ぶ方向が日本語→英語の場合と、英語→日本語の場合では異なる部分があるだろう。日本語のライティングシステムはとても複雑で、ノンネイティブの人が文字通り数百、数千という数の漢字を覚えて読み書きができるようになるためには、非常に多くの時間を要する。日本に長く住んでいる外国人で日本語のスピーキングがかなり流暢な人でも、日経新聞は漢字がわからず読めないというのは珍しい話ではない。 また、アメリカと日本の教育を比べてみると、日本で育つ場合には概ね義務教育の一部として必ず英語を学ぶのに対して、アメリカでは日本に興味を持った一部の人が日本語を学ぶことが多いだろう。さらに、「パーティー」、「スクール」、「ステーション」など、英語由来の外来語は数多く日本語の一部として定着しているし、アメリカの音楽や映画などに触れる機会も日本では多くあるが、アメリカにいて日本語の文化に触れる人は、言語と同様、特定の興味を日本に対して持っている人に限られるだろう。 このように、言語自体の難しさや特徴が二言語間で異なるのに加えて、言語学習の前提となる環境や条件も二国間、二言語間で同じではない。 このような状況や条件を鑑みるに、英語ネイティブが日本語をマスターする方が、日本語ネイティブが英語をマスターするよりも難しい場合もあるのではないか、と筆者は考える。マスターすること自体の難しさに加えて、英語が非ネイティブの人が英語ができるようになると、仕事の幅が広がったり世界中の人とコミュニケーションできるようになるなど選択肢が増えるが、英語ネイティブの人が日本語が上手くなっても、キャリアや人生の選択肢が英語ほど大きく広がるわけではないため、語学学習のモチベーションを保つのも、英語ネイティブによる日本語学習の方が、日本人が英語を学ぶより大変なのでは、と感じる。