夫が「若年性認知症」発症…得意な料理も「見たことない」 症状に落胆して大声出してしまうことも…“仲間”に救われた妻が開いた拠り所
経営する歯科医院でカフェも始める
長野県佐久市の歯科医師青木恭子さん(60)が、65歳未満で発症する「若年性認知症」の家族会を設立し、院内で認知症カフェ「たんぽぽカフェ」を始めた。夫の修さん(66)が2020年に62歳で認知症の一つの指定難病「前頭側頭葉変性症」と診断され、介護を続けている。悩みを抱えた家族が語り合える場を地域につくりたいと思い立った。 【ひと目で分かる】認知症に気づくポイントや主な相談先
夫婦はともに歯科医師として歯科医院「ぱーる歯科」を営んできた。17年ごろから、料理好きな修さんが得意料理のことを「作ったことない」「見たことない」と言ったり、物の名前を忘れたりし、家族が違和感を抱くようになった。現在は恭子さんが医院を支え、修さんは自宅で訪問看護や言語訓練を受けている。
大声出してしまうことも
修さんは調子に波があり、昨日覚えていたことも次の日には忘れてしまうという。「家族は回復に期待してしまう分、がっくりきて、つい大声を出してしまうことがある」と恭子さん。修さんの診断後、東京の若年性認知症の家族会に参加。「会で話した時に、『みんなそうだよ』と言ってもらえたことでとても救われた」と振り返る。
悩みを受け止められる場に
恭子さんによると、若年性認知症は家族の戸惑いが大きかったり、ケアする家族も働き盛りで介護と仕事の両立が難しかったりと「若年性だからこその悩みがある」。恥ずかしくて悩みを打ち明けづらいと思う人も多いとし、家族会で「みんなで語り合い、あるがままを受け止めていけるようになればいい」と話す。
10月に「若年性認知症家族会たんぽぽの会」を設立した。悩みなどを語り合う場は2カ月に1回開く予定。カフェは若年性に限らず認知症の家族らを対象とし、毎月第4木曜日に開く予定だ。