【最新Q車事情「レストモッド最前線」国産車編】TOM’Sが取り組むトヨタ・ヘリテージモデルの「転生」に期待大!レースとカスタマイズのノウハウが、新たな価値を生む
KP47スターレット以来、初めての市販モデル転生プロジェクト
株式会社トムスは、1974年に創業した「TOYOTAオフィシャルチューナー」です。レーシングドライバーだった舘 信秀氏が大岩湛矣氏とともに立ち上げ、約半世紀に渡りレース事業、自動車用品事業、デザイン事業、新規事業を展開してきました(舘氏は現在、取締役会長/ファウンダー)。 2023年シーズンは、国内最高峰のスーパーGTシリーズで総合優勝。コンシューマー向けには「クルマに乗る喜びと、人生を楽しむきっかけづくりを提供する」をビジョンに、GR86、スープラといったスポーツカーのみならず、レクサスLMなどのラグジュアリーレンジ向けにもコンプリートモデルをリリース、ファンを沸かせています。 そんなトムスがスタートさせるレストアプロジェクト第一弾として展示されたのが、1993年から2002年にかけて販売された「80スープラ」のレストモッド車両でした。 このマシンは、TRDが1994年に東京オートサロンで発表したコンプリートカー「TRD 3000GT」のスタイルを復刻しています。しかもその仕様をコンプリートモデルとして販売することも計画しているそうです。 トムスは2018年、70年代にレースで活躍した「KP47 スターレット」のレストアプロジェクトを行っています。しかし市販された名車・旧車の復刻を手掛けるのは、実質的には初めてとなります。
積み重ねてきたヘリテージで「お悩み」の解消に挑戦
約6年前、株式会社トムス 代表取締役 社長に就任した谷本 勲氏に、トムスが取り組むレストア事業の目的、展望についてお話をうかがうことができました。 今回の事業は、クルマとしてのヘリテージだけでなく、トムスそのものの「ヘリテージ」を象徴している、と思えます。それは、トヨタ車をベースとしたカスタマイズ&チューニングの歴史であり、さまざまなレースシーンで勝利を重ねてきた歴史に他なりません。 「2000年以降、私たちが手掛けてきたチューニングカーのオーナー様からメンテナンスの延長として、レストアに関する相談を受けることが増えてきました。一つひとつに是々非々で対応させていただきましたが、それとは別に、クラシックカーを大切に乗られている人たちのコミュニティから、トムスでレストアはやってくれないの?という問い合わせも実は多かったんです」(谷本氏) 国内の自動車メーカーとしては比較的、アフターサービスが行き届いていると思われるトヨタであっても、旧車に対するサポートは万全とは言えません。30年を超えたクルマたちのオーナーが、補修・交換が必要となるパーツを独自に、純正品で揃えるのはやはり至難の技です。 最近でこそ、マツダが初期のロードスター向け純正部品を復刻させたり、トヨタブランド向けに40ランクルや2000GTをターゲットとした「GRヘリテージパーツプロジェクト」が展開されるなど、情熱的なファンに対するサポートにも目が向けられ始めています。 それでもすべての部品が揃うわけではなく、オーナーたちはそれぞれに対応が必要になります。そんな悩みを、トヨタの準ワークス的位置づけにあるトムスなら解決してくれるのではないか・・・そんな期待感が向けられているそうです。 「ユーザーさんたちから見れば、トムスはやはりトヨタとの結びつきが非常に強い=安心感があるのだと思います。なにか(困ったことが)あってもトムスなら相談にのってもらえる、というイメージですね」