この乗り心地は、「違いのわかる人」にぜひ試していただきたい! トヨタ・クラウン・スポーツに追加されたPHEVにモータージャーナリストの国沢光宏が試乗した!
PHEVの方がお買い得か!?
トヨタの中でも群を抜くスタイリッシュなデザインで、すでに長いウェイティング・リストができているクラウン・スポーツに、プラグイン・ハイブリッド・モデル(PHEV)が仲間入り。モータージャーナリストの国沢光宏がリポートする。 【写真31枚】モータージャーナリストの評判がすこぶるいいクラウン・スポーツのPHEV、RSの詳細画像を見る! ◆極上のパワーユニット 前置きは後回しにして試乗といきましょう。フル充電してある状態では完全な電気自動車である。先達のジャーナリストは12気筒に代表される滑らかに回る極上のエンジンを「電気モーターのように滑らか」と評してきた。モーターで走る電気自動車は、街中などで乗ると極上のパワーユニットだと思う。静かでスムース。ストップ&ゴーに何らストレスを感じない。快適な電気自動車モード、フル充電であれば80kmも続く。 1日の走行距離が80kmに満たない使い方だと、ガソリンスタンドに行かなくなってしまうほど。電気自動車を所有すると解るけれど、ガソリンスタンドに行かなくて済むのは予想してる以上に楽ちんだ。また、電気自動車と違い、プラグイン・ハイブリッドだから電池残量が無くなると自動的にエンジンが掛かって、燃費の良い(15km/リッター前後)「ハイブリッド」モードに切り替わる。ちなみに長い間エンジンを使わないと、ガソリンの劣化を防ぐためエンジン掛かります。 エンジンを休眠状態にして走る電気自動車モードのときも、アクセルを深く踏み込めばエンジンを叩き起こしフルパワー・モードに入る。電気自動車モードだと「エンジンを起こす」ためタイムラグを感じるものの、「スポーツ」モードを選びエンジンを掛かった状態にしておくと、アクセルを踏むやいなや文字通り「ドカン!」と加速! なんといってもシステム出力306馬力、0-100km/h加速6秒は5.0リッター級エンジンと同等のスペックだ。 ◆「気持ちよ~く曲がります」 サスペンションのセッティングもクラウンというイメージを吹き飛ばす。ハンドルを切ると喜んで曲がるように仕立ててあるのだった。「DRS」と呼ばれる後輪操舵システムを上手に使っており、ハンドルを切った瞬間からノーズがインに入る。プロトタイプに雪道で乗った時はテールにしっかり駆動力&荷重が乗ってグイグイ曲がった。このあたり、四の五の言わずとも、乗れば誰だって「気持ちよ~く曲がりますね」と思うだろう。 素晴らしいのは乗り心地。これだけシャープに曲がるハンドリングを持たせながら、乗り心地フェチの私でも「標準のダンパーのまま乗れますね」。「違いのわかる人」にお試し頂きたい。タイヤは21インチのミシュラン(タイ製)。何よりインパクトあるのがアドヴィックス製となる20インチの対向6ポット・ブレーキだ。微妙なブレーキ・タッチも上手にコントロールできており、もちろんガッツリ踏めばガッツリ効く! こんな素敵なクラウン・スポーツPHEVの上代はといえば765万円。ハイブリッドより175万円高いものの、補助金が55万円出るので120万円差(東京だとさらに45万円出るから75万円差)。そのほか、自動車税免税だったり重量税の課税対象外など合わせれば、5年スパンで考えると60万円差くらいに縮まる。その上で80kmくらいまでは安価な電気で走ることや、ハイブリッドのシステム出力234馬力(V6の3.0リッターくらい)に対し306馬力(V8の4.5リッター級)あることを考えると、もはやPHEVの方がお買い得と思えるほど。とはいえ、最近のトヨタ車の常で納期はたっぷり掛かります。 文=国沢光宏 写真=茂呂幸正 (ENGINE2024年5月号)
ENGINE編集部
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