<独自>資源の循環へ全国12カ所で拠点構築の調査 政府の総合政策概要が判明
資源を再利用して有効活用する循環経済(サーキュラーエコノミー)の促進に向けた政府の政策パッケージの概要が分かった。効率的なリサイクル体制を確保するため、来年度から全国12カ所で再生材を供給するネットワークの形成や拠点構築に向けた調査を始める。リサイクルしやすい製品を増やすための新たな認定制度の創設も盛り込み、制度面からの措置も講じる。 政府は25日、自民党の環境部会などに概要を示した。循環経済を国家戦略として進める方針を打ち出し、「廃棄物等を資源として最大限活用し、付加価値を生み出し、新たな成長につながるもの」と位置付けた。 使用済みの小型家電や蓄電池などは「都市鉱山」と呼ばれる。金や銀、銅、レアメタルなどの金属を回収して再利用すれば、輸入に頼る割合を低減できるため、産業競争力の強化や経済安全保障の観点からも重視する。 日本は都市鉱山から金属材料を取り出す技術に強みがあり、再資源化に必要な施設や、事業者間で共有できる保管倉庫、輸入や物流の状況などについて全国で調査を行い、戦略的な拠点の構築を進める。 再生材の利用拡大や、リサイクルのしやすさなど環境に配慮した製品開発を促すための制度面での措置も盛り込んだ。 現状、メーカーによる再生材の利用は一部を除き努力義務にとどまる。今後は政府が利用を義務付ける製品を特定し、利用状況などに関する計画の作成や定期的な報告を求める。 また、環境に対する負荷の低減を考慮した製品の認定制度を創設し、販売する際の表示も認める。 2030年代後半に耐用年数を超え、大量廃棄が見込まれる太陽光パネルのリサイクル義務化も進める。政府は、リサイクルにかかる費用は製造業者や輸入業者に、解体費用は設備の所有者にそれぞれ求める方向で検討しており、来年の通常国会に関連法案の提出を目指している。