幸せがお金を生む? 資産と幸福感の意外なメカニズム
幸せはお金では買えないとはよく言われますが、資産と幸福感の関係についてはあまり知られていません。 お金があれば幸せが保証されるわけではありませんが、少なくとも安心感を与えてくれるのは確かですし、幸せに一歩近づくための何かをお金で買えることもあります。 資産と幸福感の関係を調べていくと、資産が幸福感をもたらすかどうかばかりではなく、幸福感が資産にもたらすプラスの影響がみえてきます。
資産と幸福感の関係とは?
経済的に豊かになるにつれ、全体的な満足度が上がることは多くの研究で示されています。 「銀行口座に十分な資金があれば、より安心」というのは研究で示されるまでもありませんが、次のような事実はご存じでしたか。「資産と幸福感の関連は双方向である」というのです。 言い換えれば、経済的な成長から幸福感が生まれるばかりでなく、逆に幸福感が経済的な成長を促す可能性もあることを示しています。 人は幸せを感じているとき、経済的にもうまくいくそうです。 まあ、常識的に考えて当然ですね。ニーズが満たされていてそれなりに幸せだと、ストレスも軽減され、さらに多く仕事をこなせる、ということでしょう。
ほかにも何が影響を与える?
お金さえあれば、必ず幸せになれるわけではもちろんありません。 どんな感情にも言えることですが、何を幸せに感じるかは各人が置かれた状況によって異なり、主観的なもの。お金と幸福感の関係を示した研究のほかにも、些細なことが及ぼす影響についての研究もあります。 この研究によると、収入以上に個人の幸福感を左右する要因もあるそうで、それは相対的にみた経済的地位、および「コムシム(Comsim、Compare Similar)」と呼ばれています。 相対的な社会的・経済的地位とは、人が主観的に感じとる社会的・経済的な自分の立ち位置のことで、これは収入や学歴、職業よりもむしろ周りと比べて自分はどの程度なのかという感情や思惑に左右されることが多いのだそう。 そして、コムシムとは、現在自分が置かれた社会的・経済的状況を、同じようなバックグラウンドの人々と比較することを指し、これは現在の同僚よりもむしろ自分と同じような生い立ちの人と比較するほうがわかりやすいことに起因しているそうです。 他人との比較では幸福になれない これらの要因はいずれも、他人と比較して自身の幸福度を計ることにつながり、度が過ぎるとどんなに資産があっても幸福感が損なわれてしまいます。 それよりも目指すべきは、自分自身の目標や成長、成果にフォーカスすること。他人と自分を比較するのではなく、自分自身にフォーカスして自身の経済的な状況を評価しましょう。 自分が幼なじみの親友に負けないお金を持っているかではなく、自らが決めた新年の予算に対して資金は足りているかどうかに注目し、また、他人がどれだけ稼いだかを意識するのではなく、自身が得られた収入に感謝しましょう。 そのためには、年末にはこのようなチェックリストを使って家計診断をしてみます。次に、必要に応じて来年度の収入をアップできるような計画を立ててみましょう。 そして、今年うまくいったことを祝って、楽しいことにお金を使うのも忘れずに。 本当の目標とは、金持ちでハッピーになることではありません。足るを知り、他人と張りあいたくなる感情を昇華させることです。これこそが、本当の意味での資産と幸福感の関係でしょう。 ──2024年1月10日の記事を再編集のうえ、再掲しています。 Source: Sage Journals, National Library of Medicine 翻訳: 永木久美/OCiETe
ライフハッカー・ジャパン編集部