父の甲子郎さんの写真を手にする茨城県代表の献花者、宮崎誠一さん=東京・日本武道館

終戦から79年を迎えた15日、日本武道館(東京都)で開かれた全国戦没者追悼式に茨城県の遺族82人が参列した。黙とうをささげて戦争の犠牲となった家族を悼んだ参列者は、世界各地で続く戦火に苦悩し、「戦争をなくして」と平和の尊さを訴えた。 追悼式で、県遺族連合会常務理事で常陸大宮市の宮崎誠一さん(79)が茨城県代表で献花した。 宮崎さんの父、甲子郎さんは終戦間際の1945年7月、同県水戸市渡里町に当時あった水戸陸軍病院で亡くなった。陸軍衛生1等兵として活躍していたが、医務室で起きた事故が原因で亡くなったという。宮崎さんは当時生後3カ月。父との思い出はなく、「もう少し早く戦争が終わっていれば」と唇をかむ。 それでも、今回の追悼式出席に当たって甲子郎さんの遺品を探したところ、家族に宛てたはがきを発見した。文面には「誠一の顔が見たい」「皆さま、お体大切に。誠一を大事に」など、宮崎さんや家族に対する思いがつづられていた。 遺族会の活動に参加して今年でちょうど30年。近年はロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザで続く戦闘など「戦争の恐ろしさが薄らぎ、軍備が増えているのではないか」と険しい表情を浮かべる。また、遺族会の活動継承についても「私も含めた戦争の記憶がない世代が、どのように次世代へ引き継いでいくべきか」と危機感を募らせている。 追悼式には県内から13～90歳の遺族が参加。最年長の古河市の小川芳男さん(90)は、兄の新二さんが旧満州で亡くなった。出席したのは初めてで「ここまで生きて来られたのは兄のおかげ」と感慨深そうな表情。45年にニューギニアで戦死した駒橋與八(よはち)さん=当時(31)=のひ孫に当たる茨城大付属中1年の勇太さん(13)は、祖父の一俊さん(83)と参列。「国のために努力して戦った人を追悼するのは大切なこと」と話した。