“地方移住のリアル” 若手記者の仕事と家庭生活の両立は…
筆者は岐阜の里山で育ち、汐留の日テレで報道局記者として働いている。2023年、同じく地方育ちの妻と結婚。仕事は頑張りたい。でも自然に囲まれた暮らしもしたい。こんなことを言うのはわがままなのか。この冬、思い切って東京湾を渡り木更津に引っ越してみた。 (社会部 赤坂啓人)
■思い切って海の向こうへ
私は高校まで自然豊かな岐阜の里山で育った。就職してからは、東京・新橋の日テレまでドアtoドアで1時間の板橋区のアパートで暮らした。仕事は不規則なことがあり、会社から近いのは安心できた。 そんな中、2023年、同じく地方で育った妻と結婚。2人でマイホームや子どもなど将来を語り合う中で、互いに自然豊かな場所で暮らしたいとの思いが強まっていった。しかし今の仕事を続けながら、それは可能なのか。 私たちは半年にわたり移住先をリサーチ。そして2023年12月、思い切って東京湾をアクアラインで渡った対岸、千葉県木更津のアパートに引っ越した。自然は豊かで家賃は安い。一方で毎日海を越えての通勤だ。都心で精いっぱい働きながら、将来ここにマイホームをもつことは可能か。実験的な新生活が始まった。今回、この間の体験をレポートしようと思う。
東京都の統計によると、コロナ禍の2年だけ、リモートワークの普及などで、転入超過の拡大は収まるように見えたが、その後再びコロナ前の傾向に戻っていて、日本人は今も東京に集中し続けている。(データ引用:東京都の統計)
首都圏では不動産価格が高騰しているが、東京23区の賃貸の家賃も上がり続けている。全国の家賃動向を調べている「アットホーム」によると、ファミリー層向けの賃貸マンションの家賃は2015年1月を基準とすると約35%上昇している。
■漠然としていた夢を、行動に
私と妻が地方移住を本格的に考え始めたのは2023年6月。東京・有楽町に「ふるさと回帰支援センター」があるのをネットで知り、2人で相談に行ってからだ。千葉・神奈川・埼玉それぞれの移住情報を担当する専門の相談員がいた。こちらから、勤務地や通勤時間の許容上限、希望する町のイメージなどを伝えると、いくつかの候補地を紹介してくれた。その中に千葉・木更津市があった。木更津だと東京湾アクアラインを通ってのバス通勤となる。意外な提案だったが、その自然の豊かさに惹かれ、私と妻は木更津を調べ始めた。