AI認知症脳ドックとは/医療ジャーナリスト・安達純子
~新薬登場で重要度が増す~認知症の早期発見と予防14 アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)や軽度認知症の進行抑制で新たな治療薬「レカネマブ」と「ドナネマブ」が承認された。早期段階での診断が望まれる中、国立循環器病研究センターは、2024年4月に「AI認知症脳ドック」をスタートした。10分程度の簡易な認知機能検査と、脳のMRI(画像検査)を基にAI(人工知能)のソフトで脳の海馬の容積を自動測定し、脳の老化具合を算出するという。 「レカネマブもドナネマブもMCIでの効果が高いので、迅速に認知症の有無を診断することが重要になります。アルツハイマー病の疑いがあれば、アミロイドPET検査など詳しい検査を行った上で治療薬の投与へと、ノンストップで進めることができます」と同センターの猪原匡史部長。 アルツハイマー病は、脳の中にアミロイドβ(タンパク質の一種)がたまって神経細胞が死滅し、脳が萎縮して認知機能が低下する。アミロイドPET検査では、アミロイドβに集まりやすい薬剤を注射して、PET(ポジトロン断層法)の画像検査でアミロイドの蓄積の有無を調べる。早期段階のアミロイドβの蓄積もわかるのが利点だ。 「AI認知症脳ドックは、MRI画像によってアルツハイマー病だけでなく、ラクナ梗塞(小さな脳梗塞)や、脳出血や認知症のリスクが高い微小出血など、さまざまな脳の異常が早期にわかります。早期発見・早期治療の重要性を多くの方に知っていただきたいと思います」と猪原部長は話す。