関西の鉄道ファン騒然、阪急電車が阪神の線路を走行?
12日深夜、関西の鉄道ファンの間である回送列車のニュースが駆け巡りました。 「回送列車、いま阪神御影駅を通過!」「武庫川駅を通過した!こんな光景が見られるなんて感動!」 「尼崎駅に到着。青胴車(普通列車用車両のこと)と並び写真ゲット!」 ツイッターには次々と目撃情報が。どうやら、阪神線を神戸方面から尼崎まで、回送列車が走ったようです。とはいえ、回送列車が深夜に走るのはそれほど珍しいことではありません。一体、何が「感動」なのか?
阪急車が阪神線に乗り入れるのは史上初
翌13日、その理由が明らかになります。阪神尼崎駅に詰めかけた、大勢の鉄道ファンが夢中になって撮影しているのは、駅西側の留置線に停車中の阪神車両・・・と、その間に挟まれて停まっていたのは、阪急電車? そうなのです、前日に目撃情報が寄せられていた「回送列車」とは、阪神線を走る阪急電車のことだったのです。阪急電車と阪神電車は線路の幅が同じ1435mmとなっていて、それぞれ神戸高速~山陽電車との直通運転を行っており、阪急車と阪神車は日常的に顔を合わせています。 また、阪急電鉄と阪神電鉄は現在同じグループ会社ということもあり、「いつかは阪急車が阪神の線路を走る姿が見たい!」と夢見る鉄道ファンも多くいました。しかしながら、車両が乗り入れるには線路幅以外にも様々な条件があり、これまで実現することはありませんでした。阪急車が阪神線に乗り入れるのは史上初のことで、鉄道ファンの「夢」がついに現実のものとなったのです。
今後また見られるかどうかはわからない
今回の回送、その理由は不明です。阪神尼崎駅に隣接する車両工場で、この車両の改造工事を行うために回送されたという噂も出ていますが、詳細は明らかにされていません。いずれにせよ、今回の車両回送はイレギュラーなもので、今後またこういう光景が見られるかどうかはわからないようです。とはいえ、阪神なんば線の開業から5年が経ち、阪神三宮から近鉄賢島まで臨時列車が走るようになった今、阪急車が阪神線を走るというイベントにも期待したいところです。 ちなみに14日現在、回送された阪急電車の姿は阪神尼崎駅ホームから見ることができます。この「歴史的光景」お近くにお住まいの方はぜひどうぞ。 (文/伊原薫/鉄道ライター) ■伊原薫(いはら・かおる) 大阪府生まれ。京都大学大学院・都市交通政策技術者。(一社)交通環境整備ネットワーク会員。グッズ制作やイベント企画から物書き・監修などに取り組む。都市交通政策や鉄道と地域の活性化にも携わっている。好きなものは103系、キハ30、和田岬線、北千住駅の発車メロディ。