米利下げは漸進的ペースに、粘着質のインフレを予想-エコノミスト
(ブルームバーグ): エコノミストは米金融当局が来年、追加利下げに対し一段と慎重なアプローチを取ると見込んでいる。トランプ次期米大統領の下で、物価上昇圧力が大きく冷え込む可能性は限定的だとして、粘着質のインフレが予想されている。
ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した最新の月間調査によれば、米金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数のうち、変動の大きいエネルギーと食品を除くコア指数は、来年の上昇率見通しが平均2.3%と、前月調査の2.2%から小幅上方修正された。
また、インフレ率がこのところ堅調に推移していることを受けて、エコノミストは2024年10-12月(第4四半期)の予想を上方修正し、金融当局が一段と忍耐強くなっている理由を一部説明する形となった。当局が来月に3回連続の利下げを決めると予想する一方で、来年1月の金利据え置きを見込んでいる。
エコノミストは現在、25年通年のフェデラルファンド(FF)金利を3.25-3.5%のレンジと見込んでおり、これは来年の利下げが前月の予想(計1.25ポイント)より1回分少ないことを示す。投資家やエコノミストは、金利がどの程度引き下げられるかについて総じて予想を縮小している。
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめとする米金融当局者は、労働市場が底堅さを維持し、経済が力強く前進し続ける限り、利下げを急がない意向を示している。
トランプ次期政権
トランプ氏の政策はビジネスには好都合かもしれないものの、関税引き上げや需要を喚起する減税など、提案されている政策の中にはインフレを再燃させかねないものもある。次期大統領の提案には、全ての国々からの輸入品に一律で最高20%、中国からの輸入品には60%の関税を賦課することや、不法移民の大量強制送還が含まれている。
ネーションワイド・ミューチュアル・インシュアランスのチーフエコノミスト、キャシー・ボストジャンシク氏は「対中関税率の追加的な30%引き上げを仮定し、25年のインフレ予想については緩やかな上方修正にとどめている」と指摘。「関税や移民政策の変更を想定するのは時期尚早であり、新政権が何を提案し、最終的に何が実行されるか見守る必要がある」とコメントした。