自分は「詐欺師みたいなもん」ーー「腐り芸人」から売れっ子へ、ハライチ岩井は「変わった」のか
お笑い芸人の枠を超え、ゲームのプロデュースや漫画の原作、ドラマやCMへの出演、累計10万部を突破したエッセー本の第2弾も上梓するなど勢いを増すハライチ・岩井勇気。コンビ結成15周年を迎えた今年、M-1出場を決意するなどハライチとしての活動も話題だ。人の心にズケズケと土足で分け入って核心を突く発言をする「腐り芸人」としてもてはやされてきた岩井は、自分を取り巻く環境の変化を今どのように感じているのか。(取材・文:西澤千央/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
俺みたいなやつが文章書くの下手だったら気持ち悪い
ーー前作がはちゃめちゃに売れたエッセー本の第2弾を上梓しましたね。 そもそも俺みたいなやつが文章書くの下手だったら気持ち悪いなと。俺みたいな感じの雰囲気のやつは、文章うまいほうがいいだろうと思って始めたんです。文章書けるようになろうと思って。はちゃめちゃに売れたかどうかは、僕はそもそもよく分かってないです。ファン層もそもそもサブカルアラフォー女子みたいなのばっかですしね。 ーー確かに岩井さんには文章が上手であってほしいかも……。 そうですよね。がっかりされたくないんで。ちょっとやれば、何かコツつかめるっていうのは分かってるんですよね。分かってるっていうか、ずっとそうなんですよ。何でもちょっとやればできるだろうと思ってる。 ーー書く仕事も含めていろいろな仕事をするなか、しばしば「自分は芸人なんで」とも発言しています。 芸人なんで、何でもやっていいですけど、漫才……ネタやるときに邪魔になるようなイメージは付けたくない。例えば、変な写真集とか出したりすると、「しょうもない」って思われるじゃないですか。俺も思うし。そうなると面白い漫才やっても、「でも写真集出してるしな」って思われてしまう。それで面白くなくなるじゃないですか。そういうことです。 ーー漫才の優先順位が一番高いってことなんですね。 そうですね。最優先事項にしてます。 ーー自身の露出が増えて、やりづらくなったことはありますか。発言も以前と受け取られ方が変わってきたとか。成功してるのにまだ文句言ってる人、みたいな。 もともとずっと文句言ってたんで。「もともと言ってますけど、何がいけないんですか」って。みなさん勝手に好きになって勝手に嫌いになっていくだけでしょ。知らないですよ。そもそも俺、「俺自身が満たされてなくてむかつく」みたいなことは、一回も言ったことないんです。何で俺こんな売れないんだとか、言ったことない。単純に、何か芸能界おかしいだろうとか、お笑いが今おかしくねえかってことを言ってる。昔から自分が腐ってるとも思ってなかった。思うことを言ったら、「本当のことを言うなよ」とか「不器用だな」って反応があっただけだから。