エイダン・オブライエン調教師と三嶋まりえ記者

　凱旋門賞（６日＝パリロンシャン競馬場、芝２４００メートル）の取材で渡欧している三嶋まりえ記者が、不世出のトップトレーナー、エイダン・オブライエン氏（５４）の直撃取材に成功した。通算勝利数４０００超、通算ＧⅠ勝利数４００超を誇る“世界ナンバーワン調教師”にとって凱旋門賞とは？　世界的にも注目されている親子対決、そしてあのレジェンドジョッキーについても聞いてみた。 【写真】〝レジェンド〟キネーン調教師を独占取材するまりえ記者 　エイダン・オブライエン師のＧⅠ４００勝というとてつもない数字の中には、もちろん凱旋門賞も含まれる。０７年にディラントーマスで初勝利を挙げ、ファウンドで２度目の制覇を達成した１６年には史上初めて１着から３着を独占。まさに“勝ち方”を知るトップトレーナーが本紙の独占インタビューに答え、「凱旋門賞」について語った。 「タフなレースになるし、難しいコース。当日は運も必要になる。それが競争力を高めている。だからこそ、みんな勝ちたいと思っているんだ。どの馬にもチャンスがある。一番大事なのは、当日一番いい状態で走ること」 　スタートしてからの位置取りやフォルスストレート、早く動きすぎればゴール直前に差されてしまうことも…。多くのポイントがかみ合わないと先頭でゴールを切ることはできない。エイダン師は「勝つにはテクニカルなレース」と表現した。勝つのが難しいからこそ、出走各馬が全力で取りにくる。武豊騎手がちょうど３０年前にホワイトマズルで初騎乗を果たしてから「明確な目標」と公言し続けた凱旋門賞。このレースにこだわる理由が少しわかったような気がした。

アルリファーで参戦！息子のジョセフ師

　エイダン師の息子であり、今年、武豊騎手が騎乗するアルリファーを管理するジョセフ・オブライエン師（３１）もこのビッグレースの勝利を切望する一人だ。 「父が制した０７年のディラントーマスがすごく印象に残っていて、私にとって凱旋門賞を勝つことはスペシャルなことです。凱旋門賞は間違いなく世界最大のレースのひとつであり、このレースに出走させること自体が素晴らしいことですが、アルリファーのようなチャンスのある馬で挑めるのだからなおさらうれしいです」 　ジョセフ師にとって、管理馬を出走させるのは初めて。「凱旋門賞は大変なレースなので、中途半端な馬を出走させても仕方ありません。アルリファーは、スピードとスタミナを兼ね備え、凱旋門賞にふさわしい馬だと思っていました。昨シーズンから凱旋門賞に出走する可能性があると頭の片隅にずっとあったんです」と改めてアルリファーの素質の高さを語った。 　今年はジョセフ＆エイダンが同時に管理馬を出走させる。「エイダンのアドバイスは必ず聞く」というジョセフ師。「互いの成功を喜び合い、うまくいかない時もそれを分かち合う」（ジョセフ師）。海外メディアから流れてくる２人の写真を見れば、その信頼関係は一目瞭然で、エイダン師は「ジョセフに勝ってほしいよ！（笑い）」と即答した。 　世界最高峰の舞台で実現した“親子対決”に、大きな役割を果たすのが日本のレジェンドジョッキーだというのも今年の凱旋門賞の見どころ。果たしてどんな週末が待っているか。