「卵子の老化は止められる」はウソ? 専門医に聞く、卵子凍結を検討する前に知っておきたい正しい知識
卵子は「凍結して終わり」ではない。自身の妊活時期をしっかり見据えよう
それだけではなく、せっかく凍結した卵子を使わないままに、妊娠適齢期を過ぎてしまうというパターンも少なくないのだそう。 「凍結した卵子と健康な精子を顕微授精すれば、いくつになっても受精できる可能性はありますが、たとえば50歳を超えてくると、子宮内の環境が変化してしまうので、受精卵を子宮内に戻しても、早産や流産のほか、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など高齢出産のリスクが高まります」 せっかく卵子を凍結しても、結婚しないままに適齢期が過ぎてしまったり、結局使わずじまいになってしまうということも少なくないという。卵子を凍結した後も、凍結のためのランニングコストを払い続ける必要があり、たとえ助成金制度を使ったとしても、お金がかからないわけではない。卵子凍結をした後も、妊娠適齢期に合わせた妊活を意識したいところだ。 最近は著名人にも「卵子凍結をしている」と公言する女性もおり、一気に認知が広がった卵子凍結。そのメリットは大きいものの、注意点がフォーカスされることはなかなかない、と浅田院長。「助成金が出るから」と気軽に考えすぎず、まずはAMH検査を受けたり、信頼性の高いクリニックを探して、今後の人生設計を踏まえながら検討しよう。 (取材と文・ミクニシオリ) 浅田義正医師 高度生殖医療を中心とした診療を行う不妊治療の専門家。米国最初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精の基礎的研究に従事した経験から、顕微授精に関して豊富な経験と実績を持つ第一人者。日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の 理事長を務める。 妊娠という“結果“を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。