悪質ホスト、行政処分と摘発の2段階で規制へ 「立ちんぼで稼いでいる子いる」誘導も禁止
支払い能力を超える多額の売掛金(ツケ)を女性客に強いるなどの悪質ホストの問題で、警察庁は、規制に向けた最終調整に入っている。今月24日に召集予定の通常国会に悪質な取り立てを規制するなどを柱とする風営法改正案の提出を目指しており、早期に成立させたい考えだ。関係団体からは抑止力に期待の声があがるが、悪質な行為の線引きが明確ではないとする懸念も浮上している。 【写真】女性が並ぶ「立ちんぼ公園」と呼ばれる大久保公園前。全体的に若く、ルックスもいい ■2段階で規制 警察庁は昨年7月、法律家や社交飲食業組合幹部らを委員とする対策検討会を立ち上げ、議論を重ねた。12月に報告書を公表し、風営法改正原案の調整を進めている。 報告書では、通常の飲食店などで見られるツケの慣習自体や、ホスト業界に限定したツケの規制は見送られたものの、悪質なものについては規制する方向性が示された。 悪質な行為は、営業禁止といった行政処分の対象となる「順守行為」と摘発対象となる「禁止行為」の2段階を設定。 料金の虚偽説明や恋愛感情につけ込んだ高額注文、正常な判断がつかない状態での高額な飲食などは、順守事項として規制するという。 入店時に「3000円ぽっきり」としたが、実際は高額な料金を請求するケースや、「シャンパンを入れてくれないと関係は終わり」とホストがちらつかせることなどが想定されるという。 ■売春誘導も禁止に 一方、脅迫などを用いた悪質なツケの取り立てや、ツケの支払いのために売春や性風俗店で働くことを求める行為は禁止行為として取り締まりの対象となる。 これまでも売春の強要は摘発対象だったが、脅すなどの強制性がなければ立件が難しいという課題があり、一律に取り締まる規定を設ける方針だという。「立ちんぼで稼いでいる子もいっぱいいる」といった売春などに誘導する行為も禁止行為に加わる見通しだ。 加えて、性風俗店が女性を紹介したホストやスカウトに紹介料(スカウトバック)を支払うことも禁じる。 罰則の実効性を持たせる「策」も検討されている。