悪質ホスト、行政処分と摘発の2段階で規制へ 「立ちんぼで稼いでいる子いる」誘導も禁止
現行の風営法では、最も重い罰則は無許可営業などで、罰金の場合はホスト個人や店側に上限200万円の支払いを求める。ただ、この上限額では「一日の店の売り上げにもならない」とされており、警察庁は億単位への引き上げも模索する方針だ。
懸念もある。規制対象となる恋愛感情をちらつかせる行為や、売春の誘導というものは、あいまいなケースも出てくるとみられている。被害者支援団体「青少年を守る父母の連絡協議会」の田中芳秀事務局長もこの点を指摘。「(改正法で)抑止力は大きくなるが、実効性を持たせるためにも『線引き』を言語化してほしい」と訴えている。(橋本愛)
■佐藤みのり弁護士の話「規制対象絞る必要、実効性に難しさも」
これまで女性の自己責任と片付けられがちだったホストにまつわる問題が悪質なビジネスモデルであり、国が介入しなければならないという認識に変わったことは、対策に向けた一歩と評価できる。
一方で法規制をするためには、対象の行為を明確に絞る必要がある。
特に、恋愛感情につけ込む行為については、女性が恋愛ではなく「『推し』を勝たせたい」と考えている場合、対象外となる可能性があるなど、実効性を持たせられるのかが課題だ。
また、スカウト行為は現在も違法だが根絶されておらず、紹介料を規制しても、取り締まりが徹底されなければ効果は十分ではないだろう。
法規制だけでの対策では、悪質な店側が網をかいくぐって、いたちごっことなることも考えられる。孤独を感じる女性がつながった先がホストで「ここだけが居場所」と思い込んで離れなくなる場合もあるため、規制強化に加えて女性を適切な支援につなげる行政や民間のサポートも必要だ。
■警察への相談は増加傾向
ホストクラブに関する被害などの相談は、年々増加傾向にある。
警察庁によると、全国の警察が受理した相談件数は、統計を取り始めた令和3年は2044件だったが、5年は2675件にまで増加した。