《糖尿病や心血管疾患のリスク上昇》内臓脂肪が体にもたらすリスクと医師が考える“3大注意食品”とは?
肥満が健康の敵というのは多くの人が知っていることだろう。では、あぶらがたまった体の中では、どんなことが起こっているのだろうか。『血液と体の「あぶら」を落とすスープ』(アスコム)を上梓した医師の五藤良将さんに、悪いあぶらが体に及ぼす影響について聞いた。さらに、悪いあぶらを増やさないために気をつけたい3大注意食品も教えてもらった。 【写真】血糖値を測っているイメージ。ほか、医師が注意するべきと考える食品を写真とともに紹介
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内臓脂肪が大病のリスクを高める主な理由3つ
体につく脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪があるが、注意すべきは内臓脂肪だと五藤さんはいう。 「内臓脂肪が必要以上にたまると、脂肪組織から分泌されるアディポサイトカイン(生理活性物質)のバランスが崩れるからです。そして、さまざまな影響が体に表れるようになります」(五藤さん・以下同) ◆インスリンの働きが低下 内臓脂肪がたまり、アディポサイトカインのバランスが崩れると、まずインスリンの働きが悪くなる。 「インスリンとは、血液中のブドウ糖をエネルギー源として細胞にとり込むために働くホルモンで、うまく働かなくなると、血液中にブドウ糖があふれるようになります」 これは、いわゆる高血糖状態のことで、長く続くと糖尿病のリスクが高まる。 ◆免疫力の低下 2つめは、 免疫力が弱くなることだ。 「免疫とは、私たちの体を病原菌やウイルスなどから守ってくれる防御システムで、そのプロセスのひとつに『炎症』があります。アディポサイトカインのバランスが崩れると、この炎症が慢性化してしまいます」 炎症が続くと防御システムが疲弊してしまう。すると、免疫力が低下し、心血管疾患や糖尿病のリスクが高くなる。 ◆血中コレステロールの増加 3つめの影響は、あぶらをエネルギーとしてうまく活用できなくなり、使いきれなかった中性脂肪や悪玉(LDL)コレステロールが血液中にあふれ出るようになること。 「血液の中のコレステロールの量は、健康な体であれば一定に保たれています。食事でとったコレステロールが多ければ肝臓などで作る量を減らし、少なければ作る量を増やします」 内臓脂肪がたまりすぎた不健康な体ではLDLコレステロール量を調整できず、必要以上に血管内を流れることが体への悪影響につながる。 「すぐに体に異変が表れるわけではありませんが、中性脂肪が増えてLDLコレステロールが小型化して血管にたまり続けると、やがて動脈硬化、さらには心筋梗塞、脳梗塞を引き起こします」 また、アディポサイトカインのバランスが崩れると、「血圧を上昇させるだけでなく、血栓ができやすくなるといわれています」と五藤さんはいう。