例年になく守備の強度が高い高校選手権/六川亨の日本サッカーの歩み
第103回全国高校サッカー選手権も1月4日で準々決勝が終了。ベスト4は優勝経験のある東福岡、前橋育英、流経大柏と初出場の東海大相模という顔ぶれとなった。 激戦区となったAブロックは、初戦で前年覇者の青森山田が高川学園に1-2で敗れる波乱の幕開け。そんななか、東福岡は1回戦で尚志を0-0からのPK戦で、2回戦で正智深谷を2-0と難敵を退け、準々決勝でも優勝候補の一角である静岡学園を0-0からのPK戦で下して激戦区を勝ち上がった。4試合で失点ゼロが示すように、堅守を武器にしての快進撃だ。 その東福岡に敗れた静岡学園だが、シュート数では8対1と圧倒しながらPK戦4-5で涙を飲んだ。静岡学園といえば、選手権初出場からドリブルを主体にした攻撃サッカーで観衆を魅了したのはご存知の通り。しかし今大会で驚かされたのは、ボールをロスト後の切り替えの速さ、複数人で囲い込んで素早くボールを奪還しては波状攻撃につなげていたことだった。 この静学だけでなく、前述した東福岡、前橋育英、それに準々決勝で東海相模に敗れた明秀日立など、組織的な守備はもちろんのことと、フィジカル・インテンシティの高い攻守を当り前のように実践しているチームが増えたような気がしてならない。 そして主審も少々の接触プレーでは笛を吹かずに流していた。ほとんどJリーグと同じ基準のホイッスルではないかと思ったほどだ。 ボールをロストしたら自己責任で回収すること、WBで起用されたら攻撃はもちろん守備でも貢献することが求められること。久保建英や堂安律(けして守備は上手くないが)、三笘薫らが日常のリーグ戦や日本代表で実践していることを、同時代の高校生が当り前のようにやっている。こうした積み重ねが日本のレベルアップにつながるのだと実感したものだ。 新国立競技場となって選手権の優勝チームは青森山田と岡山学芸館の2校のみ。果たして強豪校が新旧国立で覇者となるのか、それとも初出場で初優勝という偉業を東海大相模が達成するのか(過去には86年の東海第一と09年の山梨学院の2校のみ)。 まずは11日の準決勝、東福岡vs前橋育英、流経大柏vs東海大相模の激突に注目したい。 そして昨年末から年始にかけてJクラブからは、それこそ元旦も移籍に関するメールが連日のように届いた。すでにJ1連覇の神戸・山口蛍がJ2長崎へと移籍。柏のコントロールタワーであるマテウス・サヴィオが浦和に加入することが発表された。さらにFC東京へレンタル中だった荒木遼太郎は鹿島にレンタルバックが決まっているが、海外移籍の噂もある。 例年になく活発な移籍市場であるが、はやりJの開幕が例年より1週間早いこととACLEなども2月上旬に再開されること、そして春秋開催のリーグ戦としては最後になることなどが影響しているのか。各チームとも例年にない早い始動で新シーズンに備えている。 多くのチームで陣容が一新されそうなので、選手名鑑の発売が待ち遠しく感じられる25年シーズンの幕開けでもある。
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