初潮を迎えた日から、父は何度もレイプし、母は傍観した…実父の性加害を顔出し実名で告発し続ける理由
■初めての妊娠は、父の子の可能性が高かった たえさんが15歳になると、生まれ育った山口県から、東京へ出稼ぎに行く父に無理やり一緒に連れて行かれることに。父のレイプを放置していた母は、不倫の末家を出て行った。弟は児童養護施設、末っ子の妹は祖母の家に預けられるなど、家族はバラバラになった。 「出稼ぎ先の建設会社で私も働かされることになりましたが、そこの作業員で私に好意を持つ男性がいたんです。それを知って奴は怒り狂いました。私を“自分の女”だと思っていたんですよ。そのうち、今の夫と知り合って逃げるように彼の家で同棲すると、父は私をラブホテルに拉致して、避妊もせずに私をレイプ。また、『男二人(父と夫)を手玉に取って楽しいのか?』とわけのわからないことを言ったり、私を無理やり自分の元へ連れ帰ろうとしたりしました……」 その後たえさんは妊娠。そして流産した。 「夫の子なのか、父親の子なのか、わからなかったのですが、夫の子だと信じて産もうと決意したんです。流産した時の担当医にレイプされたことを打ち明けたところ、胎児の週数からいうと父親の子の可能性が高いと。染色体異常によって流れたのではないかとの見立てでした」 ■孫にも己の欲望の矛先を見せ始めた鬼畜 そんな不幸を乗り越え、たえさんは結婚。やっと鬼畜から離れられたかのようにみえた。しかし、父はたえさんを“俺の女”、または所有物だと勝手に思い込んでいたので、どこまでも追いかけてくる。娘への執着心を隠そうとしなかった。 「家にやってきて、私の下着をあさったり、そのうち私の娘にも欲望をのぞかせるようになったりしたんです。このままでは大変なことになると思い、完全に離れることを決めました」 その後しばらく父とは音信不通だったが、心が決壊するような事件が起きる。
■「弟は死んでもいい」その言葉に張り詰めていた糸が切れた それはどんな事件だったのか――。 「ある時、見知らぬ名前の男から手紙が来たんです。3回目の結婚をして姓も変わっていたので気づかなかったのですが、父親からでした。そこには『子どもの遺産意思の確認がしたく』と書いてあって。相続の意思などないと怒りの気持ちが湧き上がり、父親に電話したんです。そしたら『俺1回心臓が止まったんよ。だから手術した。俺の家は広いから旦那と子どもを置いて帰ってこい』と。どうやら私に自分の介護をしてほしいらしいんです」 そこで、たえさんは、弟が29歳の時に自死したことを父に告げた。音信不通だったため、父は弟の自死を知らなかったからだ。 「するとこともなげに『正寛(弟の名)君が死んだのは構わない。でもたえちゃんが死ぬのは嫌だよ』と言い放ちました。その言葉で、私の中で張り詰めていた糸がぷつんと切れたんです」 たえさんと弟は運命共同体のようなもの。いつもきょうだい一緒に虐待を受け、それを乗り越え、それぞれ結婚。やっと幸せをつかんだかのようにみえた。しかし、たえさんの夫と姑はすべての事情を受け止めて彼女を慈しんでくれたが、弟はそうではなかったらしい。妻にも誰にも虐待の事実を告げることができず、精神を病んだ挙句に自死を選んだ。その時、弟は実母と一緒にいたはずだが、母はパチンコに出かけていて、弟の自殺を止められなかった。 たえさんもまた、現在、複雑性PTSD(心の傷を繰り返し持続的に受けた結果、発症するPTSD)に苦しむ。パニック障害で電車に乗れない、悪夢にうなされる、父に風呂に沈められたことがトラウマになり風呂に入れない、無気力になり一日中体が動かないなどといった症状に襲われている。もちろん、原因は度重なる性加害だ。 「被害者である弟が自ら命を断ち、私がPTSDに苦しめられているのに、なぜ加害者は罪の意識を持たずに、のうのうと生きていられるの? こんな理不尽なことはありません。絶対に父親を許すことはできないと思い立ち、Xで実名で告発したのです。レイプをそばで笑って見ていた母には『恥さらし』と罵られましたが」 Xの投稿から火がついていくつかのメディアにたえさんのインタビューが掲載された。きょうだいが受けた恐ろしい性被害の記事は大きな反響を呼ぶ。その後、たえさんの叔母である女優の藤田三保子さんも、兄(たえさんの父)から性加害を受けそうになったこと、たえさんと弟を兄から引き離そうとしたが失敗したことを告発した。 ■「気持ちいいことをしてくれた親に感謝しろ」のコメントに体が震えた しかし、虐待を生き抜いたたえさんを応援する人がたくさんいる一方、SNSには心無いコメントが書かれ、“セカンドレイプ”=二次被害を受けることに。 「気持ちいいことをしてもらったのだから、親に感謝しろ」と書かれた時には、体が震えたそうだ。当然ながら、気持ちいいなどと思ったことは一度もないし、気持ち悪さと痛みで、毎回拷問の連続でしかなかった。 また、たえさんは7人の子どもに恵まれているが、子沢山であることで「お前の夫は多産DVだ!」とか、「子どもがいるのだから過去のことは忘れろ」とか、「被害者なら被害者らしくシオらしくしろ」といったコメントにも深く傷ついた。 「子どもをたくさん欲しがったのは私のほうです。決して夫が妊娠を強要したわけではありません。それに7人の子どもたち全員が愛おしくてたまらない存在です。私が母の立場ならば、父親を殺します。時間が経つに連れ、怒りが増幅しているので、忘れることなんて絶対にできませんよ」