「キャプテンは古賀、お前しかいない!」眞鍋政義監督が古賀紗理那に主将を託したワケ「俺はお前をリオ五輪で落とした。でも…いっしょにやってくれへんか」
バレーボール女子日本代表がパリ五輪出場を決めた。代表チームを率いる眞鍋政義監督の著書『眞鍋の兵法 日本女子バレーは復活する』(文藝春秋刊)より、選手選考の舞台裏について触れた項を抜粋して紹介します。第1回は古賀紗理那をキャプテンに指名するまでの秘話。<全3回の第1回/第2回へ> 【貴重写真】初代表16歳の古賀紗理那、見たことある?「めっちゃ似てる~」“木村沙織の後継者”と期待された頃の2ショット(2015年)、頼れるキャプテンに成長した現在の姿と比較して見る&パリ五輪出場「やったぜ~!の笑顔がカワイイ」など女子バレー日本代表の激闘も一気に(90枚超)
チームの中心となる選手
選手選考は難解なジグソーパズルである。監督が10人いれば10の選考基準があり、大会の目標、対戦相手、選手のコンディションによってもベストメンバーは変わってくる。ただ、パズルを解くための最初の1ピース、チームの中心となる選手がいつの時代も存在する。ロンドンでは竹下佳江や佐野優子。リオでは木村沙織。いまの日本で言えば古賀紗理那がそうだ。 古賀を最初に代表に呼んだのは、リオを目指すチームを立ち上げた2013年。彼女がまだ16歳のときだった。高校生ながら身長はすでに180cm。才能は同世代の中でずば抜けており、将来の日本のエースアタッカーと目されていた。高校を出ると、VリーグのNECレッドロケッツに入団。新人ながら即戦力として活躍し始める。 彼女の特徴はすべてのプレーを高いレベルでこなせることだ。まず素晴らしいのはスパイク技術。速いトスにもハイセット(高いトス)にも確実に対応し、空中で相手のブロックを見て打ち分けるテクニックもある。 さらに、ジャンプ力を活かしたバックアタックとサーブも特筆に値する。もうひとつ、これはあまり注目されないところだが、じつはレシーブもブロックも抜群にうまく、歴代のアウトサイドヒッターの中でもトップレベルと言っていい。古賀はよく木村沙織に似ていると言われるが、守備面のセンスは木村を上回るかもしれない。 2015年のワールドグランプリでは、木村沙織とともに彼女を攻撃の中心に据えた。さらに同年のワールドカップでも活躍してくれた。この大会で古賀はベストレシーバー賞も受賞している。 そして迎えた2016年のリオオリンピック予選。私は古賀を14名のメンバーに選んだ。日本はなんとかリオへの切符を掴んだが、古賀の出来はいまひとつだった。そこで私は悩むことになる。オリンピックで登録できる選手は12名。予選のメンバーから2人外さざるをえない。ロンドンでは石田瑞穂を外すかどうかで悩んだが、この最後の選考はいつも非常に難しい。 次代のエースを育てるという意味では、古賀にオリンピックを経験させるという考え方もあっただろう。しかし、私の選考基準は「いまそのときのベストメンバー」を選ぶことだ。次のオリンピックが自国開催だからといって、それを見据えたメンバーを選ぶことはしない。そう公言してきた。 なぜなら、将来性で選ぶということは、いま全力でがんばっている選手を裏切ることになるからだ。たしかに東京オリンピックはバレー界にとって、きわめて重要な目標だ。しかし、現代表の目標はあくまでリオでの金メダル。リオで最高の結果を出すためのメンバーを選ぶのが私の仕事である。
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