【マンガでわかる知識創造】なぜ、業務を「見える化」してKPIで測ると、人は違和感を覚えるのか?
人が、人と人、人と環境との関係性や相互作用の中で、主体的に知識を創り出す。 時代や状況の変化、人と人、人と環境の関係の変化につれて、知識は変わっていく。 私たちは、1人の個人だけで知識を創り出すことはできません。「巨人の肩に立つ」という言葉が示すように、私たちは先人が積み重ねてきた発見や発明などの成果の上で、新たな創造や学習を行っています。また、そもそも人間は1人だけでは存在できない、社会的な生き物です。そうした人間が創り出す知識は、人と人、人と環境とのかかわり合いの中で創られ、その変化にともなって、創り出される知識も変わっていきます。言い換えれば、知識創造はつねに共創・協創のプロセスなのです。 ■ 形式知と暗黙知 形式知と暗黙知については、ムラサメ君が世界一おいしいつくねを作る職人のたとえを使って説明していましたね。レシピ的な知識が形式知、職人のカン的な知識が暗黙知。レシピは言葉や数字で表すことで共有できますが、職人のカンは言葉で表しづらいため、共有も難しくなります。 そして、この形式知と暗黙知の関係を、ムラサメ君は氷山のたとえを使って説明していました。これを整理すると下の図のようになります。 ただ、形式知と暗黙知は、この表のようにくっきりと分かれるものではなく、氷山のたとえのようにつながっていて、グラデーションになっていることも合わせて理解してください。 ■暗黙知が重要な理由 氷山のたとえは、暗黙知が水面下にあって見えない、ということを示すだけではありません。形式知よりも暗黙知のほうがたくさんあり、しかも暗黙知がすべての知識のベースになっていることも示しています。 暗黙知という言葉は、ハンガリー出身の化学者・哲学者マイケル・ポランニーが『暗黙知の次元』という本で示した「Tacit knowing(暗黙的な知り方)」という概念から派生して、野中先生と竹内先生が経営学の分野に取り入れたものです。先生方が日本企業の研究をしたときに、言葉になっていない主観的・身体的な知識こそが新しい知識を創るカギだ、と気づいたのがきっかけでした。