なぜ代表復帰した堂安律は森保監督に突き付けられた“落選ショック”を「今は感謝している」と総括できたのか?
今年に入ってからは中国代表戦で5分間プレーしただけで、サウジアラビア代表との大一番はベンチに座ったまま勝利を見届けた。激減していく出場機会に不満を募らせた結果として、森保監督との間に軋轢が生じたのではないか。意味深なつぶやきもあって、堂安が選外となった3月シリーズ以降はこんな憶測が飛び交った。 6月シリーズに臨むメンバーが発表された5月20日の記者会見。リストに再び堂安の名前を書き込んだ森保一監督へストレートな質問が飛んだ。 「堂安に態度の問題があったと噂が出ていた。和解して戻したのでしょうか」 困惑した表情を浮かべながら、森保監督はこんな言葉を返している。 「事実ではないので、どのように答えればいいのか。呼べる選手の枠が毎回決まっているので、素晴らしい選手が数多くいる日本の厚い選手層のなかで、招集に関してはすべての選手に保証できない。そこは共有させていただければと思う」 4月にヨーロッパを視察した際には、森保監督はアイントホーフェンへ足を運んで堂安と話し合いの場も持った。そのときのやり取りを、堂安はこう振り返っている。 「監督が思っていることも伝えてくれましたし、いい時間になったのかなと思う」 選外になった直後から、PSVで堂安が刻む軌跡はさらに右肩上がりに転じた。リーグ戦で出場した6試合はすべて先発。3つのゴールを積み重ねて、フローニンゲン時代の2017-18シーズン以来となる、公式戦でのゴールを2桁に到達させた。 4月17日には国内のすべてクラブが参加するKNVBカップ決勝で、勝ち点2ポイント差でリーグ戦の優勝をさらわれた宿敵アヤックスを逆転で撃破。後半途中から出場した堂安はチャンスを演出し、10シーズンぶり10度目の戴冠に貢献した。 堂安とともに復帰させたMF鎌田大地(25、アイントラハト・フランクフルト)がUEFAヨーロッパリーグを制した点を踏まえて、森保監督はこんな期待もかけていた。 「彼らは所属チームで存在感を常に見せ続けていた。大きく変わったところで言えば、ともにタイトルを取ったこと。タイトルを取った自信は間違いなく上乗せされていく。彼らの雰囲気が変わり、さらに貪欲な向上心を見せてくれると期待している」