壮大な夢実現のため世界に挑戦のジュリアがマリーゴールド在籍を総括
「日本の女子プロレスが盛り上がりきっていないというか、世間に届いていない。それを届けるのが自分の夢でした」
そして迎えた旗揚げ戦。そこでジュリアは右手を負傷、まさかの欠場を強いられてしまう。7・13両国国技館でのSareee戦には間に合うも、12大会を欠場した。ジュリアはリング下からマリーゴールドの試合を見守っていた。それは、観察と言ってもいい。 「旗揚げ戦を終えた時点で、ここから大変だぞとは思っていました。自分はケガをしてしまったし、アクトレスの子たちには舞台から来たプロレス未経験者もいるわけで、器はあるけど中身が伴っていない。そこは試合を見ながら感じていましたね。旗揚げの注目度の高さからメジャーに近いような見られ方をしているけど、全然未完成な団体。中身が追いついていないというのは見ていて思いました」 しかしながら、これこそが新団体の強みにもなる。団体、選手たちの成長を一緒に体感する。それこそがプロレスの醍醐味でもあるのだ。 「2年後、3年後がホントに楽しみだなと思ってます。未完成なものにひとつずつ、ちょっとずついろんなピースを加えて積み上げていく。それがどんどん大きくなる。そういう過程を見るのがすごくおもしろいと思うんです。これからの自分はそこには関われないけれど、お客さんにはこれからの団体だと思って、そういうところを見てほしいですね」 正直、ジュリアの海外流出はレスラーとしての実力、プロレスに対する考え方、発言力や話題性からも日本のプロレス界にとって大きな損失となるだろう。とはいえ、彼女は長期的に物事をとらえている。海外での経験を日本に還元。そこに海外挑戦の目的があるのだ。 「そもそも私は海外には行かないと思っていたんですよね。日本の女子プロレスが盛り上がりきっていないというか、世間に届いていない。それを届けるのが自分の夢でした。それができるまでは向こうには行けないと思っていたんです」 それがここ数年で考えが変わった。夢の実現のためにも世界的知名度が必要ではないか。実際、海外からのオファーも舞い込んできたようだ。スターダムではSTRONG女子王座を獲得し、アメリカで防衛戦をおこなった。このときの経験も、彼女の考えを確固たるものにしたのではないか。 「盛り上がりや空気感、そういったものが全然違う。日本との違いをあらためて知ることができましたね。ただ、世界一の団体をめざす、そんな夢があるなかで団体との温度差も感じてしまい、意見の違いというか、あきらめに近い感情を抱いてしまったんです。自分はまだ力不足というか、(団体を)動かす説得力がないからこそ、もっと大きくならないといけないと思いました」 そう考えたジュリアは、スターダムとの新規契約をかわさず、新団体に移籍した。ただ、スターダムが海外ともっとも近い関係を築いている団体であることもまた事実ではないか。 「そうですね。いまはそうかもしれない。でも、当時の自分はそう感じていました。いまはどうだかわからないけど、(新体制で)変わってきているのなら、それはよかったんじゃないですかね」 どこの団体にいるとしても、この時期での海外挑戦は運命でもあったのだろう。その舞台こそ明らかにしていないが、過去の例からしても“世界一のプロレス団体”参戦が確実視されている。そこには、アスカ、カイリ・セイン、イヨ・スカイが活躍中。アスカは前人未到の記録を作り続け、カイリはアスカとともにPPVのメインにも登場した。イヨは最高峰ベルトを戴冠。気が早いかもしれないが、彼女たちの偉業にジュリアも挑むことになるのだろうか。そんな先駆者たちと「闘ってみたい」とジュリア。組むよりも、実績を重ねているスーパースターを体感したいと考えているのだろう。