秋のシカは気が荒い『厳重注意』発令 “映え”求めてシカに近づく…観光客の行動変化で被害増加か?
愛らしい奈良のシカも、秋は注意が必要です。 奈良公園のシカ。「神鹿」と呼ばれ、野生ながら奈良の人々と共に生きてきました。しかし今、シカ被害が増加しています。 10月10日、奈良公園に来てみるとシカと戯れる人たちの姿が。 (ニュージーランドから来た人)「愛らしくて素敵です」 穏やかに触れ合っているように見えますが、一方でシカが少年を攻撃する様子も見られました。今、こうしたシカと人とのトラブルが増えているんです。 県によせられた被害報告によりますと、2023年9月「シカのツノにさされた」などの被害件数が17件なのに対し、2024年9月は2倍以上の43件に。 そもそもこの時期はシカの繁殖期で、発情したオスジカは非常に気が荒くなるということですが、なぜ今年はこれほど被害が急増しているのでしょうか? 奈良のシカに詳しい北海道大学の立澤史郎特任助教によりますと、ツノがきれいに生えそろった若いオスジカが増えていることのほか、観光客の行動の変化も影響しているといいます。 (立澤史郎さん)「小さい子どもに、座っているツノの付いたオスジカの首周りにハグをさせて、写真を撮るためにシカに非常に接近する」 こうした状況を受け10日、新たな動きが。 (記者リポート)「奈良公園付近のデジタルサイネージには、『角鹿厳重注意』と書かれています」 奈良公園のシカを管理する「奈良の鹿愛護会」はこれまでも注意を呼びかけてきましたが、危険性がさらに高まったとして、県や市とも連携し奈良公園のオスジカに不用意に近づかないように強く求める「厳重注意」を出したのです。警戒のレベルは3段階。より危険性が高いと判断された場合は「警報」が出る可能性もあるといいます。 「穏やかなイメージがあるけど、意外とツノも尖がっているし、怖いなって」 「さっき(シカ同士が)ケンカしていていました。危険性を知らなかったので、ちょっと気をつけようかなって思います」 こうした中、シカによる被害を防ぐため、奈良の鹿愛護会は急ピッチでツノ切りを行っています。 (奈良の鹿愛護会 山崎伸幸事務局長)「今年はシカヅノが完成する時期が非常に早い。現在のシカのツノも非常にとがっていて、危険になっております」 シカの発情期は10月後半にかけてピークを迎えるということで、厳重な注意が必要です。
MBSニュース