東京工科大学の学生が作った「水素燃料電池の特定原付」!? 小型化が難しい技術を学生がどうやって実現したのか?
ベース車両はエベサーの電動四輪車「Chat Kart(チャットカート)」。最高速20km/h、16歳以上は免許不要の特定小型原付(以下:特定原付)です。48V/20Ahのバッテリーが車両の底に搭載され、300Wのインホイールモーターをリヤタイヤ両輪に搭載して、計600Wの定格出力です。
この車両の特徴は、シート下に四角い広めの収納スペースがあり、ここに水素ボンベや燃料電池の発電ユニットを収めていました。
青いのが、中に水素を吸収・放出する特性を持つ特殊な水素吸蔵合金が入っている水素吸蔵合金キャニスター。水素を圧縮せずに、こんなに小さくても200Lを充填できます。石川県のサイテム社製です。
手前は圧力レギュレーター、奥のメーターで水素残量を確認します。水素ガス燃料ならではのパーツですね!
えーーー! こんなに小さいの? と驚かされたのが、シルバーの箱「空冷の燃料電池」で、発電量も100Wと少ないアメリカのホライゾン社製です。
今後、電力測定まわりのデータを収取したいそうで、その基盤も搭載しています。
「Chat Kart」に標準装備されているリヤバスケットに搭載されているのは、アンカー製の発電機です。燃料電池が発電する電圧は20Vしかなく、電気を一度この発電機に貯めて60Vに昇圧させて車両の標準装備バッテリーに充電して、モーターを回していました。発電機がDCコンバーターの役目も兼ねています。 つまり、「燃料電池で発電(直流)→アンカー発電機(直流→交流に変換&60Vに昇圧)→車体ACアダプター(交流→直流に変換)→本体バッテリーに充電→モーターを回す」という電気の流れです。 車両に標準装備されたバッテリーへは、従来の100V AC電源を使った充電と、燃料電池からの充電、両方が可能なハイブリッド仕様に仕上げています。
実際に、インホイールモーターを搭載した後輪は、ずーーーっと回転していました。 まだ人が乗車して走らせてはいないものの、机上での計算では、「燃料電池からの電力供給のみで、特定原付の最高速度20km/hで、航続距離10~15kmは走る」そうです。