大河ドラマ『光る君へ』の舞台、当時の面影を残した京都に、ウォーホルやジョブズも魅せられた。光源氏が生まれ育った京都御所は、今とは違う場所だった!?
NHK大河ドラマ『光る君へ』の舞台である平安時代の京都。今回は、そのゆかりの地をめぐるガイド本、『THE TALE OF GENJI AND KYOTO 日本語と英語で知る、めぐる紫式部の京都ガイド』(SUMIKO KAJIYAMA著、プレジデント社)から一部抜粋・再編集して、京都の魅力をお伝えします。 【写真】さまざまな時代に生きた人々の痕跡が残れている京都 * * * * * * * ◆時代の寵児たちが愛した京都 アンディ・ウォーホル、デヴィッド・ボウイ、そしてスティーブ・ジョブズ。 活躍した分野や年代は微妙に違えど、実は彼らには共通点があります。 それは京都を愛したこと。 ポップカルチャーの最先端を走った時代の寵児たちは、いにしえの都・京都に深く魅せられていたのです。 天才たちを惹きつけてやまない古都の魅力――それが何なのか、いちばんわかっていないのが、ほかでもない日本人かもしれません。 かつてニューヨークで暮らしていたとき、京都について熱っぽく語るアメリカ人に何人も会いました。京都や日本文化に驚くほど詳しい彼らは、こちらが日本人だとわかると、嬉々として質問を投げかけてきます。しかも本質を突くような問いばかりを……。 彼らの疑問に満足に答えられない自分が、日本人として恥ずかしかった。 日本に帰ったら京都についてもっと勉強しよう。そう心に誓ったのです。
◆読み継がれてきた不朽の名作『源氏物語』 あれから幾年月。紆余曲折を経て、わたしはいま、京都に住んでいます。京都の地理には多少詳しくなりましたが、京都人としては赤子同然。1000 年の都は奥が深く、何事も一筋縄ではいきません。 近年の京都は、海外から来た観光客で賑わっています。海外の友人・知人を京都に案内した際、日本の文化や歴史について訊かれて答えに窮した。そんな苦い体験をした方々もおられるでしょう。いつかのわたしのように。 昔、歴史の授業で習ったけれど、英語だとうまく説明できない。適切な英単語や表現が思いつかない。そんなときお役に立つ本をつくりたい考え、『THE TALE OF GENJI AND KYOTO』を企画しました。 中心となるテーマは、海外でも人気が高い『源氏物語/ The Tale of Genji』。1000年以上にわたって読み継がれてきた不朽の名作です。 2019 年には、ニューヨークのメトロポリタン美術館で「The Tale of Genji: A Japanese Classic Illuminated」と題した展覧会も開かれました。 『源氏物語』にまつわるアート作品を集めたこの展覧会に、マンガ版『源氏物語』として有名な『あさきゆめみし』のカラー原画(大和和紀・作)も多数展示され、同美術館初のマンガ展示として話題となりました。これをきっかけに『源氏物語』や日本のマンガのすばらしさを知り、日本に興味を持ったニューヨーカーも少なくないはず。『源氏物語』は、日本の文化や京都の魅力を世界に伝える貴重な役割も果たしているのです。
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