「このままではヤバい…」各地で路線バスが崩壊寸前…いったいなぜ?【#みんなのギモン】
3万6000人の運転手が足りない
先月、日本バス協会がバス運転者数の今後の推移をまとめた最新のデータを公表しました。2017年には13万3000人いたバスの運転手が、2023年は11万1000人に減少。2030年には9万3000人にまで減るとしています。路線維持に必要な人員は12万9000人ですので、2030年には3万6000人の運転手が足りなくなるとの試算です。 さらに2024年からは時間外労働の上限規制や休憩時間の改正が行われるため、運転手の働く時間が今よりも短くなります。つまり、来年からは路線を維持するためには運転手の数がさらに必要になるのです。 日本バス協会は「賃金や労働条件の改善、女性運転者の活用、外国人運転者の導入検討などを進めているが、運転者を確保できなければ減便や廃止は避けられない」としています。
「このままではヤバい」と訴えたバス会社
神奈川県を中心に路線を展開する京浜急行バス。高速バスを含めて806台の車両と(8月31日現在)、1333名(9月16日現在)の運転手を抱えるバス会社です。現在、逗子、追浜営業所管内のバスが一部運休しています。(10月4日現在)
京浜急行バス 人事労務課 玉井純 課長補佐 「コロナも含めて就業困難者が増加しており、今後さらに就労困難者が増えた場合は、他の路線も減便するかしないかという状況です。乗務員の数がギリギリであることは間違いなく、来年度以降、最大で数十名の運転手が足りません」
この会社では今年の夏、親会社である京浜急行の電車1編成すべての車内広告を「バス職員募集」のポスターで埋めるキャンペーンを行いました。
さらに600両すべての路線バスにも運転手募集のポスターを掲示しています。ポスターの中には「人財不足で、このままではヤバいです」と将来への不安を訴えた内容も。 このようなキャンペーンを行ったことで参加者がゼロの日もあった会社説明会に、10人近くが来るようになったといいます。
新人運転手…なぜ、この世界に?
神奈川県横須賀市、追浜営業所の新人運転手、藤沼天太さん22歳。ツーブロックに刈り上げた髪型で、記者には今どきの若者にみえました。その藤沼さんの乗務に同行させてもらいました。藤沼さんは2020年4月に入社。入社後の3年間は羽田空港のリムジンバス乗り場で乗客アテンドのサービスに就いていました。京浜急行バスでは入社後すぐに運転手研修業務には就かせず、まず現場に出てお客さんとのやりとりを学ばせるといいます。 そして今年6月、運転手見習いとなり2か月間の教習後、8月に追浜営業所配属となり、指導運転手の元、営業運転に就いています。記者が取材に伺った日、藤沼さんは京浜急行追浜駅近くと丘陵地帯を切り開いた住宅街を結ぶ「湘南鷹取循環線」に乗務していました。