ウイスキー・ジン・ラム・テキーラにも!”原酒のソーダ割り”ブームの背景とおすすめ銘柄18
ジン人気の理由と現在地。 火付け役のブランドは?
その裏で、ジワジワと勢力を拡大させていたのが「ジン」です。特にお酒好きやバー業界のあいだでは、小規模蒸留所による個性的な味わいのクラフトジンが注目を集めていました。 そのムーブメントの世界的なパイオニアである「シップスミス」は2009年に英国ロンドンで誕生。日本初のクラフトジンは、京都蒸溜所の「季の美」で、2016年にデビューしました。 「ジンはジュニパーベリーというスパイスを使うこと以外は定義がゆるく、異なる多彩なボタニカルが生み出すフレーバーが魅力です。ウイスキーのように必ずしも樽で長期間熟成させる必要がないので、比較的早く出荷できるというメーカー側の利点もあります」 ジンのヒットを決定づけたのは、サントリーの「翠(SUI)」。2020年にデビューし、2022年にはRTD「翠ジンソーダ缶」が発売され、ともに大ヒット。ハイボールのように家飲みの新定番として定着しました。 「コロナ禍によって家飲み需要が増したことも大きかったと思います。蒸留酒の魅力に目覚める人も多く、ウイスキーやジン以外に、ラムやテキーラ、焼酎なども脚光を浴びるようになり、いまの原酒ソーダブームにつながりました」 仕事柄、海外のつくり手やバーテンダーとの情報交換を頻繁にするという黒田さんですが、原酒ソーダは日本独自のカルチャーだとか。ほかの国では、カクテルのほうが人気が高く、原酒をソーダで割って飲む文化はあまり根付いていないといいます。 「日本でソーダ割りが人気なのは、料理に合わせてお酒を楽しむ文化があるからだと思います。ソーダで割るとアルコール度数が高いお酒でも飲みやすくなりますし、爽快で食事にも合わせやすい。また、日本人は欧米人にくらべてお酒に弱いので、お酒を覚えたてのころにストレートのまま飲むという人はあまりいません。 東京の下町では、ウイスキーハイボールから転じた焼酎ハイボールが戦後から大衆酒場で親しまれていますし、日本人はDNA的にもソーダ割りが好きなんだと思います」